カレー専門店営むアラジンさん 「故郷に学校を」奮闘

ヒマラヤ山脈の名峰ダウラギリ(8167メートル)。その麓、ネパール・バグルンの出身で、松本市でインドカレー専門店「アジアンカリーハウス」(県1)を営むアラジン・カンデルさん(38)が、故郷に学校を建てたいと奮闘している。
「真面目で勤勉な印象の日本で、刺激をもらいながら働きたい」と2015年に来日。ネパールの首都カトマンズの姉妹都市・松本市にやってきた。
店舗を増やす、故郷の山岳地帯に4~10歳の子どもたち用の学校を建てる─。自らの可能性に挑戦しながら、母国の役にも立とうと定めた二つの目標実現に向け、努力を重ねている。

店舗と学校設立 二つの目標胸に

他国に出稼ぎに出る人が珍しくないネパール。アラジン・カンデルさんも20代の時、隣国インドに出向き、インドカレーの修業を積んだ。2015年に来日。当初は熊本県に滞在したが、カトマンズの姉妹都市の松本市に興味を持ち、山に囲まれた景観や気候が故郷に似ているとの理由で18年に来松した。
市内などのカレー店で接客を学び、2020年には在留資格の一つ、経営管理ビザも取得。念願だった自分の店「アジアンカリーハウス」を開いた。一つ目の目標「自分の店舗を増やすこと」に向けた第一歩だ。
1号店の開店がコロナ禍と重なり、まずはこの店を盛り上げることに力を注ぐ。本場インドから仕入れたスパイスで作る本格カレーを武器に、経営の基礎を固めたい考えだ。
二つ目の目標は「故郷での学校設立」。自分が育ったバグルンの中心市街地は学校や先生も多かったが、周囲の山岳地帯は道路も舗装されておらず、市街地の学校まで子どもたちが通うのは難しいという。「そうした子どもたちが教育を受けられれば、貧困が引き起こすさまざまな社会問題の解決につながる」と話す。

夢への活動続け建設予定地購入

来日後、自身の収入の一部を年に4回、学校建設や貧困層の子どもたちを支援する組織に寄付してきた。そして、自身も現地の行政と連絡を取り、夢である学校建設に向けて始動。今年7月には現地にいる家族と協力し、学校の建設予定地を日本円の50万円で購入した。コロナ禍もあって2年以上帰国できていないが、落ち着いたら現地に足を運び、建設に向けて動きだしたい考えだ。
妻や2人の子どもたちと離れ、松本でビジネスに挑むアラジンさん。言葉や文化の違いに困惑することも多いが、日本人スタッフや常連客が温かく接してくれ、「地域の人にすごく支えられている」と実感している。
いずれは、自分と同じように「日本で試してみたい」と思うネパールの若者たちの相談に乗ったり、店が増えれば働き口として提供もしたい考えだ。
「食べた人が元気になる。そして、ネパールの子どもたちも元気になる。そんなカレーを作っていく」。アラジンさんの松本での挑戦は続く。

【アジアンカリーハウス】営業時間はランチが午前11時~午後3時、ディナーが5~11時。チーズナンのランチセット(1155円)や、スパイシーなマトンカレー(610円)が人気メニューという。TEL0263・36・8633。詳細はインスタグラムで。