「好きになり続けてほしい」
非営利クラブMFCLで活動
松商学園高校(松本市)女子サッカー部の元主将、傘木茉衣さん(20、長野市)が、中信地区で女子サッカーの普及と選手育成を目指す非営利のクラブ「MFCL(松商学園女子サッカーアカデミー)」のコーチとして、小学生を教えている。「競技の楽しさを伝え、続けてもらえるように」と優しく声を掛け、手本を見せている。
傘木さんは長野保健医療大(長野市)リハビリテーション学科の3年生。理学療法士の資格取得を目指して学ぶ傍ら、1年生の時に日本サッカー協会公認C級コーチの資格を取得し、毎週金曜夜に主に松商学園総合グラウンド(松本市新村)で行う練習に駆け付ける。
クラブはコロナ禍で約1カ月間、活動を自粛していたが、県の感染警戒レベルが下がったことから9月下旬に再開。この日は市内の5、6年生計10人が参加し、パスなどの基本練習の後、傘木さんも加わってミニゲームをし、グラウンドに久々に歓声が響いた。
傘木さんが心掛けているのは「一つのプレーができたら、とにかく褒めること」。女子サッカーの競技人口が伸び悩む中、底辺の拡大が目標だ。「技術の習得より、まずはサッカーを好きになってもらい、中学や高校で続けてほしい」と願う。
けがの経験「理学療法士に」
高校2年生だった2017年度、全日本高校女子選手権の出場メンバーに選ばれ、チームは県勢初の全国8強入りを果たした。自身は出場機会がなかったが、翌年は主将を任され、守りの要のセンターバックとしてチームをけん引した。
しかし、集大成の3年時は北信越大会で敗れ、全国出場を逃した。「力を出し切れなかったことが今も心残り」といい、「後輩たちには悔いを残さないように、練習から常に全力でプレーしてほしい」と思いを語る。
高校時代はけがにも悩まされ、右膝の半月板損傷から復帰後、左膝も同様に傷め、2年生の時に手術を受けて入院。精神的にもかなり落ち込んだが、親身になって診てくれた松本市内の病院の理学療法士に「心も救われた」といい、「自分もスポーツ選手をサポートしたい」と進路を決めた。
「子どもたちと接すると、サッカーを始めたころの初心に戻れる」と傘木さん。いずれはよりレベルが高いB級コーチのライセンスを取り、「母校の後輩たちも教えてみたい」と話すなど、将来も女子サッカーの裾野を広げる活動に、携わり続けるつもりだ。