【記者兼農家のUターンto農】#27 脱穀

作業日程はもみの水分率次第

「17.3ですね。あと1.5くらいは、下げた方がいいと思います」。近くのライスセンターで、職員に告げられた。もみの水分率を計ってもらった時のことだ。
稲刈りから1週間ほど、今年は天気に恵まれた。「なから、稲こきできるじゃねえ」。親はそう言い、はぜから適当に稲穂を抜き取った。稲こきとは脱穀のこと。それに適した乾き具合か、もみをライスセンターで計ってくれるという。
数十粒をビニール袋に入れて持参した。「水分を計ってほしいんですが」と男性職員に差し出すと、心得顔で受け取ってくれた。ものの数分、計器にデジタル表示されたのが冒頭の数字だ。
刈り取ってすぐの生もみに含まれる水分は、一般に20~25%という。それが1週間の天日干しで17.3%に下がった。脱穀には15%くらいがいいから、「あと1.5」と、職員は助言してくれたわけだ。「はぜ掛け米ですよね。17もあると、コイン精米機が詰まるかもしれません」と、初対面の私に親切だ。
水分率を知りたいと来る農家は、農村地帯の「あるある」なのだろう。コンバインで取ったもみを乾かす大型機械がフル稼働している脇で、当たり前のように計ってくれた。地縁なのか、慣習なのか、入り込んで知る田舎のありがたさだ。
親は、「17もあるとカビが出るかも」と貯蔵の心配をして、脱穀は後日になった。
乾きすぎても品質に障る。私が記者の仕事の日に、母と妻らでハーベスターという脱穀機で作業を終えた。ただ、重い米袋を運ぶ役は男手がいる。時間のある日に父と運んだ。「いつもより少ねえ感じだなあ」と、父は表情を曇らせた。
とまれ、収穫は終わった。米袋を土蔵の一角に積み込んで仕切り板をはめた。いろんな手間と助けがいるはぜ掛け米。細々とでも作り続けたい。