夏秋イチゴの「魅力」広めて

埼玉から安曇野に移住 吉武さん夫妻

夏から秋にかけて栽培され、安曇野市でも急激に生産量を伸ばしている夏秋イチゴを育て、その魅力を広めたいと埼玉県から移住した人がいる。
吉武和樹さん(52、同市三郷明盛)と、妻の奈津子さん(38)。「自分で作ったものを自分で売りたい」。その思いで安曇野への移住を決めた。夏秋イチゴの将来性に着目し、「(生産から加工、販売まで手掛ける)6次産業化を図ることで、農業で食べていけるなら面白い」と会社勤めをやめ、2017年に移り住んだ。
今年7月には、イチゴやジャムなどの加工品を販売する店も、栽培するハウスに隣接してオープン。今後は、畑を広げたり、ブルーベリーを作ったり、冬イチゴも手掛けたりしたいと、安曇野暮らしの夢を広げている。

産地の将来性安曇野を選ぶ

安曇野市三郷明盛にある4・7アールの土地に6棟のハウスが並ぶ。中をのぞくと、立って作業ができる位置にイチゴの苗が並び、赤い実を付けている。
イチゴといえば、冬のイメージで、夏イチゴはこれまで海外からの輸入が多かった。国産は伸びしろがある、ウエディングの需要もある、農作物の中では生計が立てやすい、産地としての将来性もある…。そう踏んだ吉武和樹さんは2016年夏、突如「安曇野でイチゴ作りがしたい」と宣言。その際の奈津子さんの反応は「えー」だった。
「反対も何も、もう(和樹さんの中では)決めていた」と奈津子さん。安曇野市にイチゴ栽培を見学しに訪れた。「栽培に携わっている人は若い人が多い。そこまで決めているなら、一緒にやってみよう」と決意し、2人で移住した。
1年間、安曇野市堀金烏川で研修を受け独立した。最初は土地を借り、その後で購入。現在は「すずあかね」「サマープリンセス」「サマーリリカル」など6種を栽培する。
6次産業化を図ることで農業再生のきっかけにもしたいと期待。栽培ハウスに隣接する形で、販売拠点となる店舗「NAT’sBerryfieldFrigg(ナッツ・ベリー・フィールド・フリッグ)」を開設した。

新商品も考案観光につなげ

乳化剤を使わずバターのコクとジャムのおいしさの両方を楽しめる「いちごバター」(864円)、丸正醸造(松本市)のしょうゆを使い揚げ物にも合う「マジックストロベリードレッシング」(1080円)などを販売。イチゴにニホンミツバチの蜂蜜を使った「おとなジャム」(1512円)も置く。来年は、スイーツ、ドリンクといった飲食の販売も行う予定で、現在、商品を考案中だ。観光につながることも模索している。
設備投資にお金がかかったり、農業は天候に左右されやすく安定収入がなかったり、休みも取れなかったりと苦労は多いが、2人は「移住して、イチゴ農家になってよかった」と口をそろえる。イチゴ栽培は、子育てと同じような感覚といい、「頭も体も使い、充実感がある」と話す。
「NAT’s─」は奈津子さん、夏イチゴなどいろいろなものから命名。今後は多くの人と協力し、「安曇野市を夏秋イチゴの産地としてPRしていきたい」と意欲的だ。
「NAT’s─」は午前10時~午後3時。月、火曜定休。TEL0263 ・ 75・3097