子どものうそにまつわる話題の3回目です。
小学校高学年ぐらいのお子さんが割と頻繁にうそをついているとき、どうにかしたいと思っても一筋縄ではいかないことがあります。
子ども自身がうそをつかないようになる基盤としては、(1)自分の言動により、周囲の自分を見る目が変わり、損をしたり得をしたりすることがあるということに気付いていること(2)ネガティブなことでも正直に伝えれば、自分の言い分をしっかり聞いてもらえ、全否定されずにどうしたらいいかを一緒に考えてくれると思える人がいる。そしてその信頼関係を崩したくないと思えていることーといったあたりが大切かなと思います。
発達障害特性があると、人間関係の中で起きることの捉え方がずれてしまったり、自分の行動でどういうことが起きるかという見通しが想像しにくかったりすることがあります。
こういう面のスキルは、日常的に例えば図解や、分かりやすい言葉で説明してもらったり、正しい行動パターンを教えてもらったりといったことを重ねていくことで身に付けていけるとよいでしょう。
また、発達特性ゆえに人間関係を築くのが上手じゃなくて、周囲との信頼関係が十分じゃないということがあるかもしれません。
うそをつきがちなお子さんだからこそ、うそをつくという行動ばかりに注目し過ぎるのはよくありません。そのお子さんを取り巻く環境の中で、本人が納得できるコミュニケーションを丁寧に取り、本人の言動をしっかりサポートすることが大事になります。
そのうえで自分のことをよく認めてくれて、時に不適切な行動を取っても本人の思いも聞きながら、行動修正を促してくれる。そういった関わり方をして、より良い人間関係を築いていく。その過程が、「嘘(うそ)」という行動を減らすことにつながるといえるかもしれません。
【なないろキッズ】 #64 うそを減らす「信頼関係」
- 2021/10/26
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ