妻は商品開発、夫は生産 信州サーモン新しい食べ方

特産魚の可能性に夫婦で挑む

信州サーモンの身と内臓をペースト状にして湯煎焼きした「パテ・ド・カンパーニュ(田舎風パテ)」、身にじっくりと火を通したペースト状の「リエット」。パンに載せて良し、パスタやシチューなどの料理に活用して良し。県産ブランド食材の味わい方に新しい風が吹きそうだ。
今春、安曇野市穂高有明に開業した「cibo・cibo(チーボ・チーボ)」は、信州サーモンに特化した加工食品、総菜を製造、販売する。食材の味と可能性に着目し、新しい食べ方の研究・発信に励むのは代表の佐藤美絵さん。夫の英二さんは信州サーモンの生産に携わる。
「食べ方の幅を広げて、農産物のように地場産の魚にも注目してもらえたら」と美絵さん。挑戦の一歩を踏み出した。

特徴生かし工夫定番以外の商品

店名にある「cibo」は、イタリア語で「食べ物」の意味。信州サーモンを使ったパテとリエットが主力商品だ。信州のブランド魚を、刺し身やカルパッチョといった定番の食べ方以外にもおいしく食べられるように-と工夫を重ねた。
パテはしっとりと滑らかな食感で肉のパテにも負けない食べ応えがあり、リエットはやさしくほぐれるような口当たりが特長。信州サーモンの特徴を生かしながら、野菜やキノコ、ナッツなどの食材も加えた。佐藤美絵さんは「魚嫌いの人でも味覚が合えば楽しんでもらえると思う」。
両方とも肉で作ることが多いフランスの伝統的な料理。なじみのない人がほとんどで発売以来、「パテ、リエットって何」「どうやって食べるの」との声も寄せられる。
そこで、味や活用法を知ってもらう場として、大町市大町の日替わり店長形式の「カフェキッチンカー」(森の休息内)に月2回ほど出店。パテとリエットをパスタやラザニア、カンネッローニなどにアレンジしたランチメニューを出し、商品紹介や身近な食材と合わせた調理法の提案にもつなげている。

手間暇と愛情…養魚に魅せられ

夫の英二さんは、米カリフォルニアのミシュランガイド一つ星オーナーシェフの店で働いた経験もある元料理人。しなのや養魚場(安曇野市)に勤務して8年になる。かつては自分の店を出す夢も抱いたが、湧水を利用し、手間暇と愛情をかけて良質な食材を生産する奥深さに「どっぷりはまってしまいました」。
ニジマスとブラウントラウトを交配し、県が開発した「信州サーモン」。そのおいしさを広め、多くの人に日常的に味わってもらいたい-。夫婦共通の思いから、レストランでの接客経験があり調理にも興味があった美絵さんが、英二さんの助言も得て同養魚場のサーモンを使い、「おいしくて面白い商品を」と試行錯誤した。2人の「信州サーモン愛」が隠し味にもなっている。
個性的な商品からスタートし、トマト煮やクリーム煮、コンフィなどの総菜も展開し始めた。「まずは商品を知ってもらい、販路も広げていきたい」と美絵さん。食材の可能性を引き出すことと、魚を含めた地産地消の広がりを目指し、じっくりと取り組みを進める。

【インフォメーション】 パテ・ド・カンパーニュ(ノーマル、ピスタチオ、キノコの3種)は100グラム710円から。リエット(ノーマル、バジル、ローストパプリカ、クルミ、オレンジの5種)は75グラム790円から。
購入は工房での直販(要事前予約)、オンラインショップのほか、「安曇野スイス村ハイジの里」などで。「カフェキッチンカー」での11月のランチ提供は2、9、30日の予定。