一息つく場つくりたい 旅するコーヒー屋「読点珈琲」

自分のペースでイベント出店

あなたの読点は何ですか?そんな会話を交わすコーヒー店がある。「読点」を「一息つくとき」になぞらえ、そんな場をつくりたいと、西野有香さん(27、塩尻市大門七番町)は「読点珈琲」を開いた。店舗を持たず、自分のペースでイベントに出店している。

業務に追われる日々

西野さん自身、読点のない生活に参っていた。2019年、大手メーカーに就職して迎えた2度目の冬は、業務に追われ土日もない日々。上司に課題のやり直しを命じられ、気持ちが切れた。午後を休みにし、会社を出て、お気に入りのカフェに向かった。

コーヒーでリフレッシュ

コーヒーを飲み、一息つくと、驚くほどリフレッシュできた。休む時間の意義を実感した。もともとコーヒーが好き。「会社で自分を生かせているのかな」。そんな疑問も頭をもたげ、コーヒーを仕事にできないかと考え始めた。
起業を支援する仲間と知り合い、コンセプトを話し合う中で、読点という言葉が浮かんだ。冬のカフェのひとときが脳裏にあった。
「疲れていても日常は続く。平気な顔をして過ごさなくちゃいけない。でも、たまには一息つくのが大事。人生が一つの文だとすれば『息継ぎの読点を打ってもいいんだよ』と伝えたい」
会社員を続けながら、出店形式で始めることにした。昨年12月、塩尻市の「大門マルシェ」でオープン。以来、月1回のペースで週末に店を出す。

会社員を続けながら

中信地区が主だが、北海道や静岡にも行った。自称「旅するコーヒー屋さん」。行く先々で客自身の読点を尋ねる。趣味はもちろん、ささいな日常の事柄を挙げる人もいる。
自身の母親の読点は「寝る前にハンドクリームを塗ること」。意外な一面だった。起業したばかりの人は、「今は読点を打ちたくない」と張り詰めた気持ちを吐露した。言葉にすることで、読点の意味合いが互いに深まる。
西野さんは以前、何度も会社を辞めようと思った。目標を聞かれても、「何をすればいいですか」と聞き返すような社員だったが、読点珈琲を始めて変わった。「決めるのは全部自分。主体性を反映できる」。そんな経験が、会社との向き合い方に影響した。「仕事にビジョンが持てるようになった」。読点珈琲の活動が、自身のキャリアでも読点になっている。
「人生、弱るときがある。休むのもスキル。読点の大事さを布教していきます」と笑った。