子どもや仲間と和やかに「まなび庵」絵画教室

塩尻市宗賀の西部中学校にある市学習センター「まなび庵」で月2回(連続した土日の2日間)開かれている市中央公民館主催の絵画教室では、同市内の大勢のシニアが子どもや若者たちと一緒に絵筆を走らせている。10月の教室にお邪魔した。

楽しく交流 世界広がる

教室は10年ほど前から始まり、現在の登録者数は30人以上。毎回20人ほど出席するため、2部屋使って行われる。静物画や屋外での写生が主だが、モデルを呼んで人物画に挑戦することもある。画材は自由だ。
静物画の時は、講師で塩尻美術会会長の小松正弘さん(66、宗賀)がモチーフを部屋に用意し、参加者はそれぞれ好きなモチーフの前に座って描く。
この日は4つのモチーフが用意されていたが、急きょ1つ加わった。守屋喜久男さん(70、宗賀)が自宅の庭の花を、花瓶と一緒に持参したからだ。「わあ、すてき。いいじゃない!」。教室が一気に華やぐ。
守屋さんがまなび庵に通い始めたのは3年前。それまで絵を描くこととは無縁だったが、3人の子どもたちが学校で使っていた絵の具が大量に余っているのを見て「もったいない」と思い、始めた。
守屋さんは、モチーフの花をじっと見ながら、一本一本の線を丁寧に引いていく。「日常生活の中でも、ものを細かく見るようになった。するといろんな発見がある。世界が広がるよ」
定年後はできるだけ新しい世界に触れたいとも考えていた守屋さん。「あまり上達しないけど、楽しいのは、いろんな考え方や感じ方に触れられる刺激と、優しい仲間との交流があるからかな」と笑顔を見せる。
屋外では、百瀬由利子さん(77、木曽平沢)が駐輪場に並ぶ自転車をスケッチしていた。まなび庵に通い始めて丸1年。絵が好きな小学3年生の孫に「一緒にやらない?」と声を掛け、2人で来始めた。「孫が『こうしたらいいよ』と教えてくれるんです」とうれしそうだ。
傍らには立派な水彩色鉛筆セット。子どもたちが還暦祝いにプレゼントしてくれたという。まなび庵に参加するまで部屋にしまわれたままだったが、今ではなくてはならない道具だ。
スケッチブックには、新聞紙の上にゴロンと転がるマツタケとシメジの絵があった。「息子が採ってきてくれたんです。おかげさまでおいしいまつたけご飯が食べられた。絵には『思い出を残す』という力もあるんですね」
休憩時間には、持ち寄った茶菓子や手作りクッキー、漬物や季節の果物などを食べながらくつろぐ。「お茶を飲みに来るだけでも楽しいのよ」と満足そうに話す70代の女性は4年前から通う。
「何も描かれていない、真っ白いキャンバスを前にしたときが一番わくわくする。手を加えるほど駄目になっていくのよね」と冗談めかしつつ、「ここの教室の、温かい雰囲気が大好き」と笑顔だ。
参加者にとってここは、日常のあれこれから少しだけ離れた、憩いの場のようだ。
教室は午前9時~正午。生徒は随時募集。参加無料。市中央公民館TEL0263・52・0899