山辺の兄弟農家 新スタイルでブドウPR

山辺ブドウの幅を広げたい

高台から北アルプスの絶景、松本市街地が望め、県内ブドウ栽培の発祥の地とされる山辺地区。そこで70年続くブドウ農家「瓦屋」を3代目の兄弟が引き継ぎ、「新しいスタイルの農家」として活動している。
今年、それぞれ東京と愛知から共にUターンしてきた兄の金井亮さん(38)と弟の俊さん(35)。屋号にちなんで「瓦屋GRAPES(グレープス)」を立ち上げ、これまでの職業や経験で培った得意分野を生かしながら、山辺ブドウのおいしさや信州の素晴らしさを発信する活動を始めた。
山辺のブドウのおいしさをもっと多くの人に届けたい─。そんな思いで、地域の事業者とコラボレーションしたり、ブドウ園を活用した多目的化なども視野に入れたり。「今までにない農家像」を探る兄弟を訪ねた。

デザインと観光 経験生かし連携

兄の金井亮さんは、東京の一級建築士事務所で空間デザイナーとして約20年働いてきた。その間、スーパーなどで見掛けるブドウは、粒が小さかったりスカスカしていたりで「自分が見てきたブドウとは違う」との違和感をずっと抱いてきたという。「関東の人たちはブドウについて誤解しているのでは?」
山辺で育った高品質な本物のブドウを全国に届けたい|との思いと、デザイナーとして独立するタイミングが合い、松本市にUターン。デザインの仕事を通してものづくりの楽しさを実感してきた亮さんは「農業をもっとクリエーティブにできたら」と意気込む。
大手旅行会社に就職し、松本で営業担当をしてきた弟の俊さん。名古屋市に転勤し、故郷を離れてみて改めて松本の良さに気づいたという。「観光、文化、歴史、食、自然と、パワーコンテンツが盛りだくさん」。松本の魅力を全国に発信したいと考えていた時、山辺ブドウをフックに活動しようと考え、今年、会社を辞めて松本に帰ってきた。
2人のバックグラウンドであるデザインと観光の視点を生かし、兄弟で農業を継ごうと決意。山辺ブドウを武器に、さまざまな業種や人と連携して地域の魅力をアップさせたいと、7月末に瓦屋GRAPESを発足、取り組みを始めた。

地元店とコラボ 農園活用も意欲

高品質なブドウを高品質な形で全国に届けられるよう、オリジナルデザインのパッケージで直販。地元のレストランや旅館、洋菓子店とコラボレーションし、山辺ブドウを使ったケーキやパフェ、肉料理のソースなど、素材の提案や提供を積極的に進めてきた。
また、天気の良い日に木漏れ日が差し込む心地よいブドウ園の空間性にも着目。地域の人々との交流の場や、都会からのワーケーション利用などにも活用できないかと考え、互いの営業力や発想力を生かして新しいことに挑戦し続けている。「ブドウはアイデア次第でいろんなことができる」と亮さん。
他産地に比べ、生産量が少ないという課題があったという山辺ブドウ。俊さんは「山辺のブドウ農家全体が、量より質にこだわってやってきた結果」と指摘。「全国に誇れる山辺ブドウの存在に感謝しながら、さらにその幅を広げていきたい」とする。
山辺ブドウの魅力を伝えるだけでなく、農業の大変なイメージを払拭(ふっしょく)し、クリエーティブで楽しいものであることを伝えられれば、地域にとどまって従事したいという若者も増える─。そんな目標も描きながら、兄弟で挑み続ける。
詳細は瓦屋GRAPESのサイト(こちらから)で。