描こう「巨大わにわに」 山形村図書館まつり

地域に愛され続ける図書館に

人気絵本「わにわにシリーズ」で知られる絵本作家、山口マオさんと一緒に色を塗ったり周りに絵を描いたりして、子どもたちが迫力ある絵を仕上げた。
山形村図書館が開館10周年を記念し、併設する村農業者トレーニングセンターで開いた図書館まつり。その目玉の一つとして開かれたワークショップ「みんなで描こう!『巨大わにわに』」に、明るい歓声が響いた。
ステージ発表や、利用者のお薦め本を紹介する「四面書架」…。有志らによるまつりの実行委員のほかにも、同図書館を愛する地元の多くのサポーターが関わり、多彩な催しが開かれた。
小さな施設だからこそ人との距離が近く、雰囲気もアットホームな同図書館のまつりに顔を出してみた。

絵本「わにわに」作家 山口さん語る

17人が参加した「みんなで描こう!『巨大わにわに』」。山口マオさんがその場で「わにわに」を描き始めると、子どもたちは「すごい。生で見た」「絵本で見たのと同じ」。
「周りに何でもいいから好きなものを描いて」と促す山口さん。最初は戸惑っていた子どもたちも、次第に魚、果物、ゾンビ、家族の似顔絵などを描き始め、その上から色を塗る頃には手が絵の具だらけになるほど夢中になっていた。
佐藤友梛(ゆうな)さん(9)は「マオさんを初めて見て最初は緊張した。みんなで描いて華やかになって良かった」とにっこり。子どもたちの様子に「小さいうちはみんな絵を描くことが好きなのに(テクニックを)評価されるにつれて嫌いになる子が多い。もっと自由に楽しんで描いてほしい」と山口さん。「絵が好きで描き続ける人が増えれば、世の中が明るく楽しくなるのでは」と話した。
100人が耳を傾けた講演会「絵本づくりの舞台裏~わにわにの絵本ができるまで」では、山口さんが絵本作家になったいきさつや絵本誕生の経緯、「わにわに」シリーズの裏話などを紹介。利用者122人が顔写真付きでお薦め本を紹介した文章と、その本で四方の壁を飾った「四面書架」、ブックカバー作りや絵本の表紙を使った袋作り、村内のグループによる人形劇やパネルシアター…。多彩な催しを大勢が楽しんだ。

企画や準備など 有志が積極的に

村内の図書館の歴史は1911(明治44)年の「図書閲覧所」に始まる。以降、小学校内の図書館、公民館図書室などの変遷を経て2011年、村図書館として条例設置した。同時に発足した「村図書館協議会」のほか、「図書館を応援する態勢を作ろう」と有志ボランティアの「山形村図書館を愛する会」が発足。がれきだらけだった周囲を片付けて花壇を作るなど積極的に協力した。
館側も、図書館を知ってもらい本に手を伸ばすきっかけを作りたいと、お話の会などさまざまな催しを企画。同館司書の百瀬恵津子さんは「みんなが顔見知り」と話す。
今回のまつりでも、チラシやポスターのデザインなど、企画や準備から有志の実行委員が手弁当で参加した。山口さんの講演会の費用捻出のために作ったマイバッグ100枚は「いつもお世話になっているから協力したい」と、すぐに完売。「まつり当日は来られないから」と、お祝いのリースを持参する人もいた。
「四面書架のコーナーも、こんなに多くの人が協力してくれるとは思わなかった」と感謝する百瀬さん。「これからも愛され続ける図書館でありたい。リラックスしたりおしゃべりしたりして、元気になって帰ってもらえたら」と、村の図書館を見詰めた。