華やか「映える」県護国神社

手水舎を飾り付けSNSで発信

手水舎に、ハロウィーンのカボチャやお化けの飾り、花をオイル漬けにしたハーバリウムのお守り─。「かわいい!」と、声を上げてしまいそうになる。
松本市美須々の県護国神社。戦死者を祭るためか、一般の人には少し敷居が高く、訪れにくい空気もある。
そうしたイメージを変えたいと、手水舎をSNSで「映(ば)える」ように装飾。晴れ着を着た子どもたちや母親らが訪れる七五三のこの時季を除き、普段はモノトーンな感じの神社らしからぬ華やかな空間になっている。
昨年11月から手水舎などをインスタグラムで発信し始めた。フォロワーも増え、中には独自にお守りやご朱印帳をデザインしたりするフォロワーも。
厳かさを保ちつつ、今風の映える境内にどう「進化」したか興味が湧き、足を運んでみた。

手水舎は月ごとテーマを決めて

県護国神社の手水舎は月ごとにテーマを決めて「デザイン」している。11月は季節に合わせ「リンゴ狩り」。リンゴなどをガラス瓶の中に入れてボールと一緒に浮かべたほか、ゲーム性を持たせて楽しめる工夫もした。
デザインや装飾を手掛けているのは、主事の大貫美香さん(52)と、巫女(みこ)の上條笑恵(えみ)さん(25)。掃除から始め、1時間ほどかけて飾り付ける。それを後押しするのは宮司の奥谷一文さん(76)だ。
「普段はほとんど人影のない神社だった」と大貫さん。戦争のイメージと結びついているのに加え、戦没者の遺族も高齢化などで参拝者が減る傾向だったという。
そこで境内を整備、サイトも立ち上げたところ、4、5年前から参拝者が増え始めた。近年のコロナ禍で手水舎の使用を停止したのを機に、「見て楽しめるように」と、昨年11月にガラスのおはじきなどを入れ、インスタグラム(インスタ)にアップ。今年の正月には、ポリエステルの折り紙で鶴を折り浮かべたところ好評で、コロナ禍にも関わらず例年とあまり変わらぬ人出があり驚いたという。

置き型のお守りハーバリウムも

今年6月から登場した「お守りハーバリウム」(1500円)。神社のお札とも正月の縁起物とも異なる、部屋に飾って喜ばれ、願いがかなう置き型のお守りを─との思いから作った。秋田県に住む同神社のフォロワーが一つ一つ手作りし、宮司がお祓(はら)いと祈願をする。花は5色あり、ピンクはご縁、紫は健康―などそれぞれに意味があるという。御朱印帳も毎月変わり、透明感のあるフィルムでできたものなども。

同神社によると、秋限定の御朱印(10月15日~11月15日)は、1年間の授与が30~40だったのが昨年は200に、今年は400に増えた。昨年は郵送がほとんどだったが、今年は約100人が実際に訪れたという。特に若い女性が増え、「以前の10倍ほどになった」と大貫さん。若いカップルの姿も目立つという。
こうした工夫で訪れる人が増えたことについて、大貫さんは「6万4000余柱など、神社の意味や歴史などについて広く知られる機会になれば」との思いを抱く。境内は四季折々の自然も楽しめることから「(一度きりの来訪でなく)訪れる人たちの交流や憩いの場にもなれば」とも。
SNSなどを活用して「敷居の低い神社」をアピールしつつ、地域の寺社と協力、連携して、さらに広がりを持たせたい―と大貫さん。過去の手水舎などはインスタグラで。TEL0263・36・1377