島立伝統行事の「鳥居火」題材に切り絵の紙芝居

紙芝居「しまうちのとりいび」 松本市

「ブオー、ブオー」。松本市島内の鳥居山で毎年4月、ほら貝の合図とともに始まるのが、市重要無形民俗文化財でもある島内地区の伝統行事「鳥居火」だ。勇壮な火祭りが、松本平に春の訪れを告げる。
島内地区町会連合会(宮田芳彦会長)は、将来の地域を担う子どもたちや、新しく転入してきた人たちに「伝統行事の歴史を伝承していってほしい」と、切り絵で鳥居火を題材にした紙芝居「しまうちのとりいび」を作った。文章や切り絵は、住民が手掛けた。
全11枚で構成。市の地域自治支援交付金を活用して、大型サイズ(横61センチ、縦43センチ)と通常サイズ(横38センチ、縦26センチ)を2部ずつ制作。地域の文化祭や保育園などで子どもたちにお披露目した。

父と子の会話祭りを伝える

紙芝居「しまうちのとりいび」は、鳥居火の行事に参加する父親と子どもの会話を通して、歴史や経緯、祭りの概要を伝えている。
歴史は、約300年前に当時の松本藩が作った地域の歴史や様子を記した「信府統記」をひもとき、鳥居火がいつから何のために始まった行事なのかといったいわれを紹介。元々はお盆に行われていたが、明治時代に病気がはやる8月の暑い時季を避けて今の4月になったといった経緯にも触れている。
また、たいまつの作り方や山の急斜面に立ちたいまつを振る大変さ、4月14~16日の3日間にわたって1日ずつ順番で地区ごとに異なる火文字を描くなど、祭りがどのように行われているかが分かるようになっている。

勇壮な火祭り次世代へ伝承を

紙芝居の文章を担当した青島町会長の胡桃孝好さん(70)は「紙芝居は歴史資料ではないため、子どもたちが興味をひくような、史実とは異なると思われる言い伝えも取り入れた」。約40日かけて切り絵を作った青木昭博さん(67)は「話の内容は少し難しいところもあるが、色合いや登場人物など、分かりやすく伝わるように考えた」と話す。
鳥居火の夜にたいまつを持って山の斜面に集まる人々のシルエットは美しく、鳥居山から見える市街地の夜景にラメを使うなど、工夫の跡が見て取れる。

地域の文化祭や園児にお披露目

今月6日、松本市の島内公民館講堂で開いた島内文化ふれあいまつり。完成した紙芝居をオーバーヘッドプロジェクター(OHP)でスクリーンに投影し、集まった約70人に披露された。
8日には島内保育園で年長クラス48人を前に紙芝居を上演した。外に出て園から見える鳥居火が行われる鳥居山を示し、高橋典子園長が「鳥居火知ってる人いますか」と質問。半数近くの園児が手を挙げた一方、見たことがないという園児も。青木さんが祭りで使うたいまつを見せたりほら貝を吹いたりすると、園児たちは楽しそうに見入っていた。
「地域の保育園や小学校などで活用してもらえればうれしい」と宮田芳彦さん。島内公民館長の上條光司さん(67)は「島内の伝統行事を絶やさないためにも、紙芝居を通して地区の歴史に興味を持ってくれれば」と話している。
紙芝居は貸し出しもしている。同公民館TEL0263・47・0264