【野遊びのススメ】#17 森の炭窯で一端に触れる

寒さで朝晩の空気がぴんと張り詰める季節になった。この時季のアウトドアは、暖があるとうれしい。塩尻市中央公民館が20日に開いた、白炭の「炭焼き体験講座」をのぞいた。

森遊びの達人が親子向けに講座

講師は、地元で自然体験活動や森林整備活動をするボランティア団体「熊野井塾」と「一期(いちご)会」の会員。森遊びの達人たちだ。場所は同市北熊井の雑木林の中。熊野井塾の活動拠点で、手作りの炭窯がある。親子4組16人が参加した。
窯の中をのぞくと、すでに炭が赤々としていた。炭の温度は約1200度。焚(た)き口付近に落ち葉をかざすと、ちりちり燃える。うっかり近づきすぎると髪の毛が燃えるので、注意したい。
炭作りは、講座の5日前に始まった。講師らがナラの間伐材を集めて翌日、窯にぎっしりと敷き詰め、火入れ。排気口から出る煙の色を観察し、頃合いを見計らって空気を遮断。炭化を進めた。
「木材の種類や気候などを考慮して判断する。経験がものをいう」と一期会の古田今朝芳さん(73、広丘野村)。炭化により、1トンの木材が100キロ以下になるという。
専用の棒で窯から炭をかき出すと、カラカラと音を立てて出てきた。土と灰で作った「消し粉」を炭の上にたっぷりかけて火を消したら、あとは冷めるのを待つだけだ。その間、空になった窯の余熱を利用し、ピザを焼いた。ものの4~5分でカリッと焼き上がり、文句なくおいしい。身も心も温まった。
食事後、参加者は雑木林を散策し、クリタケを採ったり、辺りを駆け回ったり。小学生の子ども2人を連れて参加した小林知子さん(40、広丘堅石)は「車の往来などを気にせず『なんでもやっておいで』と子どもに言える。最高の遊び場」と笑顔だ。
本来なら材を切り出し、運び、窯に並べ、火の番をして、初めて「炭焼き」と言えるのだろうが、今回は自然体験活動の一環ということもあり、ほぼ「炭出し」にとどまった。すべてに携わった上で炭を使った時に、何を感じるか?宿題が一つ増えた。