明科の空き家利活用を 合同会社「うずまき」が自ら実践

市民活動で駅前活性化を

安曇野市の明科地区で空き家や空き店舗の利活用に取り組む合同会社「うずまき」。JR明科駅前の活性化を願う有志5人が昨年10月に設立し、2年目に入った。
7月、空き家の利活用のモデルになれば―と、同社は築60年以上の建物をリノベーションしシェアオフィスなどとして提供する「龍門渕てらす」をオープン。「昼間の駅前に人の流れを呼ぶには、新たな事業所を増やすのが効果的」と、うずまき代表の横内健人さん(57、明科中川手)。
地元商工業者らでつくり、横内さんが事務局を務める「明科駅周辺まちづくり委員会」が主催する「空き家空き店舗見学会」と合わせ、駅前活性化に知恵を絞る「うずまき」。古里明科に活気をもたらしたい―という「地元愛」にあふれた有志たちの活動現場を訪ねた。

移住や移転希望見学会に20人超

11月13日、12回目の「明科駅周辺まちあるき空き家空き店舗見学会」が開かれた。明科への移住や店舗のオープンなどを希望する20人以上が参加した。
一行は明科駅前に集合。横内健人さんらの案内で、空き家になった民家、店舗など5件を見学。最後に龍門渕てらすに立ち寄った。
軽井沢町在住で、菓子職人の50代女性は来春、安曇野市に移り住み、工房を開く予定。明科も候補地の一つとしており「北アルプスの景色は最高。意外と何でもあることが分かった」と納得した。
4月に松本市に移住した50代女性は、自身の趣味を生かせる住居を探している。「改装をどこまでやっていいか、お金のことなど、もうちょっと細かなところまで教えてほしかった」と注文した。
見学会は明科駅周辺まちづくり委員会のまちあるき部会が主催。2017年から多い時で年4回実施した。見学会に協力する安曇野市の職員は「空き家問題は民間との連携が不可欠。見学会は(街づくりの)市民活動が活発だからできること」と話す。

モデル事業始動今後の運営課題

ただ、目に見える実績をつくるのは一朝一夕にはいかない。昨年3月、見学会後の意見交換会では、空き家を解消した「具体的な事例を見せてほしい」という声が挙がった。
当時、見学会から問題解決に至った事例はわずか1、2件。そこで「自ら利活用を進めよう」と、横内さん、設計士の高井健慈さん(64、三郷明盛)と中村滋宏さん(41、穂高有明)、元安曇野市職員の横山正さん(63、明科中川手)、カフェ店主の山崎雅子さん(62、同七貴)がうずまきを設立。明科駅から300メートルほどで、龍門渕公園を見下ろせる河岸段丘に建つ空き家を買い取り「龍門渕てらす」を開いた。
「先日、昭和47年の明科の商店主の年頭あいさつが載ったチラシを見た。この街を盛り上げようという機運が感じられ、この雰囲気を取り戻したい」。横内さんはそう話す。
現在、てらすの1階はオフィスとキッチン機能を持ったシェアスペースになっており、キッチンは地元の飲食店が利用。2階は地元のNPO法人が入居する。地下1階に当たるスペースは横内さんの会社のオフィスだ。日々の管理はうずまきの5人が当番制で行っている。
空き家利活用の「モデル」として誕生した龍門渕てらす。今後、運営を軌道に乗せることがモデルとしての価値を高める。
「お昼を食べられる店が入ったことで、確実に人の流れがこちらに向いてきた」と、手応えを語る横内さん。「シェアオフィスを利用してくれる人に、明科を拠点にした起業や事業所開設などを提案していきたい」と話した。