「高ボッチ高原FM」開局1カ月 地域住民との近さ売りに

塩尻市と朝日村を主な放送エリアとする新しいコミュニティーFM局「高ボッチ高原FM」(89・4メガヘルツ)が開局して1カ月余。同市大門三番町のコンテナハウスを利用したスタジオから、30分~1時間の自主制作番組のほか、行政、観光、天気、交通、企業や商店の情報、音楽などを24時間放送している。
朝昼夕に生放送がある番組のパーソナリティーを務めるのは、8人の女性。県内のラジオ・テレビ局のリポーター経験者、イベント司会者らに交じって「初めてマイクの前に座った」という主婦もいる。
見学に訪れた小中学生が生放送に出演したり、リスナーが持参したCDをその日の番組で流したり。住民との距離の近さを売りに、「地元情報の発信基地を目指す」という新FM局をのぞいてみた。

スタジオ見学の子どもたち出演

夕方の生番組「イブニング高ボッチ」の火曜担当パーソナリティーで主婦の池田舞衣さん(大門二番町)は、アナウンスの経験がなかった。開局前に通り掛かったスタジオをのぞき、「新しいお店ができると思ったら、ラジオ局だった」。
「良い声だね。パーソナリティーをやってみない?」と声を掛けられ、家族に相談。小学3年生の娘の夕莉さん(8)が「がんばって…」と書いた手紙に背中を押され、挑戦を決めた。
11月中旬の放送では、スタジオを見学に訪れた小中学生4人が急きょ生出演し、好きな曲をリクエスト。理由を尋ねる池田さんに、初めはしどろもどろだった子どもたちだが、番組の後半になると曲に声を合わせた。
出演した降旗心緒さん(塩尻中1年)と弟の歩登君(塩尻西小3年)は「緊張したけど楽しかった」。母親の香織さん(43)は「いろいろなジャンルの曲がかかり、車中でよく聞いている。(子どもたちは)よい経験をした」。
池田さんは「緊張の連続だが、楽しくやらせてもらっている。より良い放送を届けられるよう努力する」と力を込める。

朝の生番組「モーニング高ボッチ」の木曜担当は、イベント司会業などをしている北原さゆりさん(56、大門二番町)。トップニュースを何にするかなど、番組開始の1時間前からディレクターと念入りに打ち合わせる。
スタジオを訪れたリスナーの青木勝男さん(77、宗賀)は、番組を終えた北原さんを“出待ち”。「開局時からのファン。声がすてきな北原さんにお会いしたかった」とうれしそうだ。

木曜夜の「あしたもなから」は、フリーアナウンサー久野恵美子さん(広丘堅石)と、岐阜県出身で「全力普(ふ)暮志(くし)ファーマー」を名乗る農業、二ノ宮あきひろさん(41、北小野)の掛け合いで収録が進む。
ラジオリポーターの経験がある久野さんと、素人とは思えない語り口の二ノ宮さん。台本もなく、簡単な打ち合わせだけで繰り広げるトークが楽しい。2人は「『お・も・て・な・し』の次は信州の方言『なから』を広めたい」。

今月からは、全国のコミュニティーFMが聞けるウェブサイト「サイマルラジオ」で配信を始めた。イベント情報のPRに出演した市観光課職員の大山博さん(33)は「これからFMを活用し、名所や特産のワインなどを全世界にアピールしたい」と意気込む。
運営会社「しおじりコミュニティ放送」の中村修社長(76)は「リスナーや小学生が詠んだ短歌の紹介などもやりたい。地域に密着し、愛され、必要とされるFM局に育てたい」と話している。