安曇野拠点に海外の動物研究・相馬貴代さん

安曇野市穂高の相馬貴代(たかよ)さんは、京都大学アフリカ地域研究資料センター(京都市)の研究員。アフリカ南東部のマダガスカル島に生息するワオキツネザルの研究をし、NHKの自然番組「ダーウィンが来た!」や「ワイルドライフ」にも出演したことがある小学5年生の男の子のママです。

選択肢絞らず何でもやってみよう

★進路選択
小さい頃から動物好きで、将来は漠然と獣医になることを思い描いていた相馬さん。小学5年生くらいのときにイギリスBBC放送の番組「生きものたちの地球」を見たり、「クレヨン王国の花ウサギ」(講談社青い鳥文庫)を読んだりと、人間と自然、動物の共存を考えるものに触れたことがきっかけで、動物と関わる仕事に就きたい気持ちが強くなります。
中学生になると「シルクロード」にも興味が湧き、いよいよ進路を決める高校2年生のとき、迷いに迷って一番興味のあった中国文学を学べる大学に進み、大学院で動物を研究する-という結論にたどりつきます。「やりたいことは全部やりたいという気持ちでした。結局、大学で学んだ中国文学ではサルやトラに触れる部分もあり、今につながっています」
★ワオキツネザルとの出合い
もともと山にいるサルの生態や社会性を調べたいと思っていましたが、ニホンザルやチンパンジーはすでに多くの人が研究していたため、まだ研究が進んでいないワオキツネザルをテーマに選びました。
マダガスカルでは「戸籍を作る」ように、1匹1匹の生態を記録していると言い、相馬さんのノートにはワオキツネザルの写真と名前、番号が何ページにもわたって記録されています。
★安曇野へ
大学院修了後も20年間、マダガスカルと京都を往復する生活を続けますが、2010年に悠河(ゆうが)君が誕生したのをきっかけに古里へ。自然豊かな安曇野を子育ての拠点にし、両親の協力を得ながら仕事と両立しています。
新型コロナの影響でここ2年はマダガスカルには行けず、現地のスタッフにデータを取ってもらっています。仕事もほとんどリモートです。
「一番の仕事は論文を書くことですが、ワオキツネザルの専門家があまりいないので、海外に情報発信することも私の役目です。世界的に有名なイギリスの自然番組プロデューサー、デイビット・アッテンボローさんの影響でこの道に進んだので、今度は自分がそういう立場になりたいです」
★子どもたちへ
コロナ前には悠河君もマダガスカルに同行して現地の生活に触れました。「女性が働きやすく子育てがしやすい環境。『子どもはみんなで面倒みよう』という文化です。保育園のない地域でも、出産後は周りの人と協力しながら仕事に復帰して生き生きと働いています」
「私は一つに絞らずいろいろやってきたのが良かったと思っています。だから、いろいろ興味がある子は何でもやってみることを勧めるし、そう思える余裕を持つことが大切です。
日本は郊外に行くとサルが見られる珍しい国で、その中でも上高地、安曇野、北アルプスは多様な動物がいる貴重な場所です。子どもたちにはその大切さを学び、守っていくことを考えてほしいです」