【野遊びのススメ】#18 「水石」を学ぶ

河原で“宝探し”楽しむ

川などで拾った自然石を水盤などに据えて鑑賞する「水石」。古来から知識人らが楽しんできた芸術文化で、石について学べば学ぶほど奥が深いという。愛好者でつくる「松本愛石会」会長の小松豊さん(75、松本市寿小赤)らに、石の探し方から作品に仕立てるまでを教えてもらい、魅力を探った。

古来からの芸術文化 奥深い魅力を

11月に梓川の河川敷で開かれた「探石会」。会員は釣り人が着る胴付き長靴にリュックサック、手にはバールといういでたち。バールは石を掘り返すのに使い、胴付き長靴は川を渡ったり、川底の石を探すのに必要だ。
膨大な数の石の中にある“お宝”とは?記者には良しあしが全く分からない。小松さんはしま模様のある石を拾い上げ「これは虎石」、白い筋が流れる滝のように見える石は「滝石」などと教えてくれた。石を評価するポイントは「品格があるかどうか」といい、17、18センチから27、28センチくらいが標準。
「揚石(ようせき)」(石を拾い揚げる)のこつを尋ねると、「経験、センス、運気、根性、勘、知識がそろうこと」と小松さん。「初心者は色がきれいとか、形が面白いとかで探せばいい。石に親しむことから始めて」とアドバイスされた。川を荒らさないなどマナーを守ることも大事だ。
今回の探石会では1カ所で2時間くらいじっくり探し、昼食を挟んで場所を変えた。成果を見せ合い、石談議に花が咲く。1人でも探しに行くという唐沢進さん(71、塩尻市宗賀)は「年に100回近く行くが、よい石は1つか2つ。苦労して、この世に1つしかない石を手に入れるのが楽しい」。気分転換にもなり、お金もかからず健康的な趣味だと勧められた。

いよいよ、お気に入りの石を飾る。洗って土や汚れを取り除き、日光に当てて古色感(さび)を出す。これを「養石(ようせき)」という。水盤に水を張って飾ることもあるが、鞍馬砂など細かい砂を土台に敷くと水盤が傷まず、平らでない石を据えることもできる。
こてで砂をきれいにならし、水盤の大きさに合う石を飾る。山水景情石に山形や磯潟、滝石、ほかに紋様石や姿石などがあり、1つの水盤の中で自然の景色をつくる。飾り台に載せて完成。霧吹きで水を掛けると、石が持つ本来の色や特徴がくっきりと現れ、より美しく見える。石は削ったり割ったりせず、自然の姿をめでるのがルールだ。
「長い年月をかけて自然が作り出した形は、山水の美しさを連想させ、見る人の心を癒やし、安らぎを与えてくれる」と小松さん。
松本愛石会は、研修会を兼ねた展示会も開いている。問い合わせは小松会長TEL090・8326・6116