「人生会議」で自分らしく 望む最期を考える

人生の最期が近づいた時、どんな医療やケアを望みますか─。それらを考え家族などで話し合う「人生会議」の関心が高まっている。構えずに「自身が大切にしたいこと」を素直に考えるのがスタート。各地で普及・啓発活動をする松本市医師会の医療・介護コーディネーター、岡村律子さんの講座(主催・松本おかみさん会)を取材した。

「人生会議」は、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の愛称で、最期まで自分らしく生きるための思いなどを考え、家族や医師などに伝え共有することです。
国の調査によると、最期を迎えたい場所で最も多いのが「自宅」で54.6%、2番目の「病院などの医療施設」は27.7%ですが実際は病院で最期を迎える人が8割で自宅は1割弱。また「延命治療はしたくない」という高齢者は9割ですが、実際は家族の希望などにより5割以上が延命治療をされています。
例えば、心肺停止の状態で救急搬送された高齢の父親を心臓マッサージや強心剤投与、電気ショック処置の末に見送った長男は、自分の判断で父につらい思いをさせたのではと悔やみました。事前に父の希望を聞き、話し合った事実があれば気持ちの整理ができ、長男はその後、自分の人生を前向きに生きていけるのではないでしょうか。
では、どんなタイミングで始めるのか。「人生会議をします!」と、かしこまる必要はありません。例えば有名人が亡くなったニュースを聞いた時など、自分はどんな最期にしたいか考えたり、親にどんなことを望むか聞いてみたり。家族が集まる年末年始もきっかけの一つです。
「誰でもいつかその時が来る」と考えることで「それまでどう生きるか」を考えるのが大切。例えば、寝たきりになりたくなければ、元気に生きていくために何が大切か、健康なうちに意識して行動してほしい。死を考えることは生を考えることでもあり、介護予防にもつながります。
人生会議と共に活用してほしいのが、意思を書面に残す「リビング・ウィル(事前指示書)」です。松本市が市地域包括ケア協議会と作成した「松本市版リビング・ウィル」は延命治療についての選択を記入し、かかりつけ医が署名、写しをカルテに保存する仕組みです。何度でも書き直すことができます。
市内医療機関や薬局、地域包括支援センターや市役所高齢福祉課などの窓口で入手できるほか、市医師会ホームページからダウンロードすることもできます。
市内で活用例もあります。「最期になったら何もしないでほしい。点滴なら少し」とリビング・ウィルに意思表示していた80代の男性。医師や家族との話し合いの後、在宅みとりを目標に訪問看護と介護、入浴のチームを編成し対応。8日後に自宅で安らかに亡くなりました。
このような人生会議の事例や詳細は市が11月に発行した「地域包括ケアシステム事例集VOL.5」で紹介しています。市高齢福祉課や市医師会の窓口などで配布しますので参考にしてください。
みとりはやり直しがききません。思った通りにいかなくても事前に考えておくことが大切。死を忌み嫌うのでなく、1回考えることで心の免疫力を付けてほしい。家族や地域とのつながりを意識するきっかけにもしてほしいです。