鹿教湯「白扇」を復活 松本の濱重俊さん

松本と鹿教湯交流促進を

「白扇」の名物はバングラデシュカレー。店主だった故生田千鶴子さんが、夫の淳一さん(58)の知人のバングラデシュ人から作り方を学んだという。タマネギをあめ色になるまで炒め、コリアンダー、クミンなど5種のスパイスを使う本場の味。発芽玄米に素揚げの野菜をたっぷり載せていて、多くの人に愛された。
昨年、濱重俊さんが店を訪れた際、店内にあった日めくりカレンダーは、千鶴子さんによる最後の営業日2017年5月2日のままになっていた。使っているメニューも、食器もそのまま残っていた。メニューに書いてあった「有意義な時間を過ごされるお手伝いができれば幸いです」という文章に感動。千鶴子さんの生きざまと思いがインスパイアしたような気がした。

名物カレー料理再現へ試行錯誤

「男子厨房(ちゅうぼう)に入らず」の世代の濱さん。料理とは無縁だったが、「白扇復活」に照準を合わせ、走り出した。手元にあるのは、千鶴子さんのレシピと、冷凍庫に残っていた3食分のカレーだけ。無謀とも思える挑戦で、知人に「ご乱心」と言われたと笑う。それでも気持ちは変わらなかった。
試行錯誤の毎日を過ごした。試食3回目で「これなら」と、淳一さんや常連らに合格点をもらい、再開は5月2日に決めた。「時計が止まった同じ日から動かしたいと思った」

温泉街を中信と東信の懸け橋に

店が復活してから7カ月。「この辛さが懐かしい」「千鶴子さんのあの味が食べられると思ってなかった」。多くの声が寄せられている。淳一さんも「すごくうれしい」と喜んでいる。
淳一さんは、鹿教湯温泉を心と体を健康に、幸せにする湯治場を目指す「文殊テラス・プロジェクト」に関わり、同温泉を中信と東信の懸け橋にしたいという思いが強い。「白扇がこの温泉街の一つの拠点になればいい。濱さんのフットワークの軽さ、行動力で鹿教湯にいろいろな変化が起きるのでは」と期待する。
白扇でコンサートを開いたり、紙芝居を上演したり、気軽に話ができる場所だったり。将来は文化サロン、交流サロンを目指したいと話す濱さん。「近隣の旅館、ホテルなどと連携して、にぎわい創出につなげられれば。(無料化された)三才山トンネルをうまく使って、松本方面と上田方面の交流促進も図りたい」と話している。

【白扇】金~日曜(ゴールデンウイークなどは営業)午前11時~午後4時(12~2月は3時)。バングラデシュカレーは1250円(3点ミニプレート付き)。濱さんTEL090・4161・0022