中信地域「日本1」と「国内発祥・初」

中信地域の人たちが誇りに思う「虎の子」。そんな中から「日本一」「国内発祥・初」の物や事柄をピックアップしてご紹介する。

「そば切り」 組合設立味を伝承―本山宿(塩尻市宗賀)

信州の郷土食の代名詞ともいえるそば。米を育てるのが難しい寒冷地ややせた土壌でもよく育ち、栽培期間も短かったソバは古くから各家庭で栽培され、食べられてきた。現在のように麺にして食べる「そば切り」が広まったのは江戸時代。その発祥の地を名乗るのが、塩尻市宗賀にある本山宿だ。
中山道六十九次の32番目の宿として栄えた本山宿。そば切り発祥の地の名称や各家庭に伝わるそばの味を伝承していきたいと、1994年に地元住民らが「そば切り発祥の地本山そばの里企業組合」を設立。店も開いてそばを提供している。組合理事長の落合功さん(73)は、「松尾芭蕉の門下生だった森川許六の弟子、雲鈴(うんれい)が、本山宿で食べたそばに感銘を受けて全国に伝えた様子は、1706年発刊の『風俗文選』にも記載されている。ここ本山から、今のスタイルのそばが全国に広まったのは確か」と胸を張る。
店で提供するそばは、二八で細め。のどごしのよさが自慢だ。この地域で栽培した玄ソバを挽(ひ)いて手打ちする「挽きたて、打ち立て、ゆでたて」のそばにはファンも多い。生地をのばす際に、四角でなく丸く伸ばすのが、本山流なんだとか。
「そば切り発祥の地」の商標登録証が誇らしげに掲げられている店内。土産用に、昔懐かしい素朴な味わいの「そばもち」「そばおやき」も売っている。TEL54・6371

「石の耳飾り」 直径約7.5センチ「国内で最大 」 ― 藪沢Ⅰ遺跡(大町市平)

最大直径約7・5センチ。大町市平の青木湖北東に位置する藪沢Ⅰ遺跡で、1994年に二つが並んで見つかった。片方は割れていたが、ほぼ完全な形で、もう片方は一部が欠けた状態。いずれも今から約6000~5000年前の縄文時代前期の作とみられている。
耳飾りは中央に穴が空いていて切れ目があり、古代中国の玉器の一つ「※(けつ)」に似た形状から「※状耳飾」と呼ばれる。石製のものは縄文早期末から中期初頭まで流行し、全国で1000点以上、県内では最多級の200点以上が出土。直径3~5センチほどが多く、同遺跡のものは飛び抜けて大きい。※状耳飾に詳しい県埋蔵文化財センター(長野市)調査部長の川崎保さん(56)によると、公表されているものでは国内で最大という。
耳たぶに開けた穴に耳飾りを差し込み、ピアスのように装着したようだ=イメージ図。1つの重さは小さな卵1個分ほど。ずっしり感があり、邪魔になりそうなサイズだが、どんな人が身に着けたのだろうか。
国内の出土例や研究から主に女性と考えられており、集落のリーダー的存在や呪術師のように限られた人だけのものらしい。大きさにも違いがあるため、川崎さんは「縄文時代にも人々の中に細かな役割分担や職能、階層性があったことの表れでは」と見る。
同遺跡からは、原材料の石や加工途中の石も出土。産出地が近いことから、県内では大北地域に多い石の装身具を製作した集落だったと想像される。大きな耳飾りは、集落の製作技術の高さも示す。「もっと注目、評価されていいものではないか」と川崎さん。
管理する大町市文化財センターは「存在を知らない市民もまだまだ多い。関心を持って見てもらえたら」。希望者は連絡の上で同センターで見ることができる(3日まで休み)。TEL0261・23・4760 

※ 王ヘンに決のツクリ

「氷上競技のインカレ 1925年」 暖冬で初回開催地―六助池(松本市岡田伊深)

松本市岡田伊深にある農業用ため池「六助池」。静かなたたずまいの池のほとりに堂々と建つ石碑には「学生スケート大会発祥の地」と刻まれている。
大学や旧制高等学校の体育会スケート部などが加盟した全国学生氷上競技連盟(現・日本学生氷上競技連盟)の第1回全国学生氷上競技選手権大会は1925(大正14)年1月、六助池で開催。現在の日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)の歴史は、岡田の地から始まった。
連盟が発行する大会75回史、初回大会に出場しアイスホッケーで準優勝した旧制松本高校関連や岡田地区まちづくり委員会編集の書籍や文献などから歴史をひもといてみた。
1924年の連盟創立翌年に計画された初回の大会は当初、各大学が合宿練習をしていた諏訪湖で予定されていた。だが、その冬はあいにくの暖冬で結氷の気配がなく、関係者は代替地を探しに奔走。当時の岡田村の六助池で何とか開催にこぎ着けた。
スピード、アイスホッケー、フィギュアの3種目を予定したものの、暖気の影響でスピードは中止に。アイスホッケーには松高のほか、早稲田大、慶応大、東京帝国大、日本歯科医学専門学校(現・日本歯科大)が出場し、早大が優勝した。
翌年の大会から、会場は早い時期に結氷する松原湖(現・小海町)に。94回の歴史を重ねる大会で六助池が熱戦の舞台になったのは初回のみだった。
「かつては厚い氷が張り、地域の子どもたちが当たり前に滑っていた。今ではこの池でスケートが盛んだったことを知らない世代もいる」。近くに暮らす堀内信さん(90)は、今ではほとんど見られない厚氷の六助池を懐かしんだ。

まだまだある!「日本一 」

● 堤体が高いロックフィルダム 大町市の高瀬ダム(176㍍)
● 標高が高い空港 信州まつもと空港(657.5㍍)
● 標高が高いバス停 アルピコ交通が乗鞍岳に設置している「標高2716m」
● 短い祭り 塩尻・岡谷市境の塩嶺御野立記念祭
● 長い宿場町 塩尻市の奈良井宿
● 狭い立ち食いそば店 JR塩尻駅構内の「そば処 桔梗」

【国内発祥の地・初】
● 民宿 白馬村
● 国産アルミニウム工業生産 大町市の昭和電工大町事業所
● 山岳ガイド組織 大町市の大町登山案内人組合
● 花いっぱい運動 松本市 
● 普通選挙運動 松本市 
● 30・10運動 松本市 
● スズキ・メソード 松本市 
● キムタクごはん 塩尻市
● 森林浴 上松町の赤沢自然休養林
※諸説あり。国宝松本城天守など「最古」は除く