県ケ丘高校2年の今井さん 松本の「お宝」湧き水探究

未来へ水が湧く風景残したい

松本の代表的なお宝の一つ「湧き水」。清らかな自然の恵みを昨年から探究し続けている女子高校生がいる。
松本県ケ丘高校探究科2年の今井沙絵さん(17、塩尻市広丘郷原)。こんこんと湧く水の麗しさに目を奪われた今井さん。調べを深めるにつれ、その存在が若者たちに知られていないか、または興味を持たれていないことが分かったという。
学校では茶道部に所属する今井さん。「自分が使うことで同世代にもっと素材を知ってほしい」と、湧き水でお茶をたてている。
今月、探究の成果を学校で発表する。「地域に水が湧く風景がある。それって幸せ」。自分たちと同じ世代の生徒たちに、この思いを伝えるつもりだ。

茶道部でお茶をたてて飲み比べ

昨年12月、今井沙絵さんは源智の井戸(松本市中央3)と松本神社前井戸(同市丸の内)の水を使い、茶道部でお茶をたてて飲み比べてみた。
普段の部活では水道水を使っているが、今井さんがたてたお茶を飲んだ部員のほとんどが、水道水との違いが「分かる!」とびっくり。硬度など、水質が異なる2種類の水のどちらがお茶に合うかについては意見が分かれた。
「これまで、井戸のことなど全く気にすることがなく、飲むことは考えもしなかった」と、部長の須澤心結さん(2年)。「次の文化祭で湧き水でたてたお茶の飲み比べをしても面白いかも」と新たなアイデアを思い付いた。
1年生部員の手塚雅さんは「源智の方がサラッとしていて飲みやすかった。外に飲める水がある松本ってすてき」と笑顔を見せた。「水道水との違いを分かってもらえ、くんできたかいがあった」。今井さんは顔をほころばせた。

若者たちにも知ってほしい

松本駅から徒歩で通学している今井さん。普段は駅前大通りを歩くが、1年生だったある日、違う道を歩いていて井戸を見つけた。たまたま誰も使っていなかった。「こんなきれいな水があって、井戸も整備されている。なんで誰も利用しないのだろう」。地域の湧き水について自身も知らなかったその当時はそう思った。その「誤解」が、1年間かけて取り組む個人探究テーマに「松本の湧き水の使い方」を選ぶ出発点となった。
2年生になり、インターネットや文献などで湧き水について学習。昨年5月、大型連休中に、家族と一緒に松本の湧水群を巡った。「観光客に人気がありそう」な空気を感じられた。
昨年9月、「『きれい』というイメージがある湧き水で掃除がしたい」と、あがたの森の鳥のふんで汚れたベンチを清掃。10月、松本市の裏町で開かれた高校生が集うイベントで、源智の井戸と東門の井戸(大手4)の水でお茶を振る舞った。締めくくりが茶道部での飲み比べだった。
「高校生は湧き水に関心がないし、存在を知らない人もいる」。今井さんが探究を通じて実感したことだ。そして「高校生は高校生なりに、日々いろんなものに追われているからかも」とも。
普段とは違う道を歩き、少し視線を変えれば井戸は見つかる。湧き出る水のきれいなことに気付けば大切さも分かる。「そこに至るには心に余裕が必要」。そんな気付きにも出合った。
近く行われる探究テーマのまとめの発表会で、今井さんは松本の湧き水を「まず知ってほしい」と呼び掛けるつもりだ。「知ることはさまざまな気付きにつながる。世界の水環境にも目が向く。自分たちが暮らす未来に、湧き水の風景を残したい」