パリ五輪へ レジェンド継ぐホープMTB・北林力

パリ五輪に向け足固めの年に

「(2024年)パリ五輪に出場することしか考えていない」。マウンテンバイク(MTB)クロスカントリー競技のホープ、北林力(22、白馬村)は、同競技で昨夏の東京まで五輪4大会連続出場のレジェンド、山本幸平さん(36、松本市)が1日に設立したチームに所属。パリへの足固めと位置付ける年が始まった。

新設チーム「Athlete Farm SPECIALIZED(アスリート・ファーム・スペシャライズド)」は、山本さんが監督でメカニックなどのスタッフが1人、選手は北林と弟の仁(19)の2人だけ。山本さんが「自身の後継者」と目する北林を、五輪へ導くためにつくったチームだ。
これまで海外遠征などの際、飛行機やホテルの手配などを全て自分でやっていた。北林は、競技に集中できる環境を整えてもらったことに感謝し、同時に「五輪に向け、実力は無制限に伸びると思っている」と自分自身に期待する。

白馬高校3年までMTBとアルペンスキーの「二刀流」だった。MTBでは高校2、3年時に世界ジュニア選手権に出場するなど、同世代では国内無敵を誇る一方、スキーでも3年連続で全国総体(インターハイ)に出場する実力者だった。
しかし、2年生の時にはすでに、MTBで世界を目指すことを決めていた。その年に初出場した世界選手権でトップの走りを目の当たりにし、「自分もああなりたい」と決意。同じ大会に出場していた山本さんに「どうやったらプロになれますか?」と尋ねたのが、師弟関係の始まりだ。
高校を卒業して山本さんのプライベートチームに入り、当時東京五輪を目指していた山本さんと切磋琢磨(せっさたくま)。アドバイスを受けて約3カ月のフランス遠征もほぼ毎年敢行し、世界の強さを肌で感じてきた。

昨季まで年代別のカテゴリーで競技した北林は今季から、年齢制限がない最上位の「エリート」で戦う。5月から始まるワールドカップ(W杯)を転戦してポイントを稼ぎ、自身の国際ランキングを上げ、パリ五輪への道筋をつける年だ。
「今年は選手として、本当のスタートを切る大切な年」と自覚し、7日から静岡県伊豆市で、新チーム初の合宿を行っている。選手とスタッフのチームワークを築くのと、自転車を乗り込んで体力を強化するのが狙いだ。
「パリ五輪に出て存在感を示し、次の(28年)ロサンゼルス五輪で入賞以上の成績を残す」。山本さんが08年北京五輪に初出場したのは22歳の時。後を継ぐ者として、年齢的にも譲れない目標へ突っ走る。

【プロフィル】 きたばやし・りき 白馬村生まれ。白馬中3年時に全国中学スキー大会大回転で優勝、回転2位。中学3、高校1年時に全日本MTB選手権ユースクラス連覇(14、15年)。高校2、3年時に同選手権ジュニアクラス連覇(16、17年)。20、21年の同選手権U23クラス連覇。全日本U23強化選手。180センチ、70キロ