信州伝統の図書袋「松本図書鞄」に進化

「本を大切に」図書袋を全国へ

県外出身者からしばしば聞かれる「図書袋って何?」の声。信州特有のものかどうかは定かではないが、「学校図書館の本を大切にする」文化が根付いているのは確かだ。
そんな風土に着目して、丈夫な「松本図書鞄(かばん)」として製品化した人がいる。子ども服の製造販売や洋裁教室などの「イー・ソーイングガーデン」(旧ラズベリーガール)を営む田川恵理子さん(42、松本市蟻ケ崎4)。
顧客から「図書袋を直してほしい」と頼まれたのが製品化のきっかけ。帆布を使い、図書袋とランドセルを背負った子どもをデザイン化しシンボルマークにするなど工夫を凝らし、5日に発売した。
「これからも使いやすくするため進化を重ねていきたい」という松本図書鞄とは―。

デザイン工夫し大人も使える鞄

松本図書鞄は、縦25センチ、横31センチ、奥行き9センチ、肩掛けベルトは108センチまで伸ばせる。フラップ(ふた)はマグネットホックで開閉しやすい。表地は、ターコイズ、カーキ、ネイビー、ピンク。シンボルマークの刺しゅうは男女2種類のシルエットがデザインされ、色はピンク、黄色、水色などがあり、刺しゅうではなくリボンが付いたものも。裏地も生成り色やグレーなどがあり、15パターンの組み合わせがある。
帆布は軽く、柔らかく、丈夫で、肩掛けベルトにも使っている。大人になっても長く使えるよう、作りにもデザインにも工夫を凝らした。
旧開智学校や松本市立図書館に残る資料によると、開智小学校が1970(昭和45)年4月に出した「図書館だより」に、図書袋の用意を依頼する文章が載っている。家で布製のものを用意するか、紙袋(1枚15円)を購入するかどちらかだったが翌年、紙袋は廃止に。「(図書袋が)ない場合には、貸し出しをしないこともある」との文章もある。同校がショルダー型になったのは、84年からだ。
旧開智学校に詳しい学芸員、遠藤正教さん(37)によると「戦後間もない頃、本を購入するのが大変だったので、図書の保護、大切に長く使おうという気持ちがこういう形になって現れたのではないか。それが今も続いているのでは」と推測する。

修理がきっかけ耐久性自慢の品

田川恵理子さんは、7年ほど前にキルティングでできた図書袋の修理依頼を受けた。その際、「かばんとして使うものなのに、耐久性の低い素材で作るのはおかしい。ランドセルと同じように、6年間使えるものを作りたい」と感じたという。
図書袋は以前から作っていたが、商品として販売している会社や店がないことに疑問を持ち、製品化を決意。これまで作っていた図書袋を基に、デザインや仕様、シンボルマークなどを考え、1年ほどかけて完成させた。6年間の使用保証付きの自信の品だ。
刺しゅうのかばんは1万6500円、リボンのかばんは1万9800円。オンラインで注文を受け付けており、3月20日ごろまでに納品する。今後は、計画中の実店舗でも販売する予定だ。旧開智学校の耐震工事の終了後、売店でも扱ってもらえないか検討している。
外注で考えていた刺しゅうもクオリティーが統一できるよう、自分たちで手掛ける準備を始めた。「歴史のあるものを今の時代に商品化した不思議を感じる」と田川さん。
全国的にも珍しいという図書袋。「松本図書鞄」のブランドで商標登録申請中で、今後は県外へも発信していきたい考えだ。問い合わせなどは、イー・ソーイングガーデンのサイから。