コンテナ店舗に「社会派化粧品」扱うサロン

海上輸送用のコンテナを店舗に利用し、オーガニック化粧品を使ったエステや脱毛などの施術をするトータルエステティックサロンが、木祖村菅(すげ)地区にお目見えした。
「ボタニカル・コンテナ・サロンKULAM(クラ)」。立ち上げたのは原萌香さん(37)。6年間勤めた同村役場を昨年辞め、11月半ばに開いた。
最大の特徴は、近年「社会派化粧品」として注目されている地域発の化粧品を数多く扱うこと。そして、原さん自身も、村の農産物を活用した化粧品開発に力を入れる。
オーガニック化粧品づくりは、アトピー性皮膚炎の9歳の長女の存在がきっかけで始めた。第1弾は今年の夏までに発売予定。今月からは東京のオーガニックビジネス企業と提携し、美容学校を開講するなど精力的だ。

長女の一言が起業の原点

木祖村の国道19号菅交差点を西に曲がり、やぶはら高原スキー場の方向へ北上していくと、ひときわおしゃれなコンテナ店舗が現れる。
店の入り口にはオーガニックの日用雑貨やフェアトレード商品などが並び、店内には滋賀県の限界集落に咲く絶滅危惧種「紫草(むらさき)」の根「紫根(しこん)」を使った化粧品など、各地の社会派化粧品がずらり。
施術メニューは、機械による脱毛、角質ケア、肌の引き締めと、オーガニック化粧品を使ったエステの2本柱。「科学と自然の共存」がコンセプトだ。

原萌香さんは塩尻市出身で3児の母。松本深志高校を卒業後、東京と松本でエステティシャンとして働いた。結婚、出産を機に夫の古里、木祖村へ。2人目の子を出産後、エステ職への復帰を模索したが、塩尻や松本への通勤は遠く、育児との両立は無理と判断。村役場に就職した。
役場勤務をきっかけに地域活性化への関心を強めた原さん。耳の持病の手術や難産などの経験から生と死を意識するようになり、「やりたいことをやろう」と起業を決断した。
村内に同業者がいないのと、2700人余りしかいない村人のさまざまな要望に応えるため、男性や子どもの脱毛、ネイルなどをメニューに加えるなど柔軟に対応している。
発売準備を進める自社化粧品は、二層式オイル化粧水とバームの2種類。いずれも、地元の「あらや農園」のトウモロコシと精肉店「マルシン食品」のニンニクの根から抽出したエキスを使う「社会派化粧品」だ。
「化粧品を通じて、だれかの心の中に木祖村が残ってくれたらうれしい」と原さん。今後も、村の農産物などを活用した化粧品を増やしたい考えだ。

2020年夏、化粧をしている原さんの横で、アトピーの長女がふとこぼした「私もそれ、塗りたいな」の一言が、起業や自社化粧品開発の原点だ。「娘も利用できるような店にしたい、娘と一緒に使える化粧品を作って贈りたいと思った」
1月から、注目のオーガニック企業「オーガニック・マザー・ライフ」と提携し、スキンケアによる肌質改善や、肌と体の不調に合わせて化粧品を調合するスキンケア方法などを学ぶ講座を始める。
「日々のスキンケアが一番大事で、そのための知識を伝えたい。エステは癒やしを目的に、たまにきてもらえれば」と笑顔がこぼれた。
午前9時半~午後7時。水曜定休。詳細はインスタグラム。TEL0264・24・0523

【社会派化粧品】過疎化や自然保護、障がい者就労など、地域課題と向き合う中で生まれた、その地域の原材料で作られる化粧品を指す。