
アロマセラピスト髙山あゆみさんに聞く
新型コロナウイルスの第6波が押し寄せるなど、「接触」に気を使う日々が続いている。「こんな時代だからこそ、手を体に触れて心身を癒やす『タッチケア』、特に、自分の体に触れる『セルフタッチ』に目を向けて」と話すのは、塩尻市内でアロマテラピーサロン「木乃香(きのか)」を運営するアロマセラピスト髙山あゆみさん(55)。タッチケアの効果やお勧めのセルフタッチについて聞いた。
タッチケアは、肌に優しく触れることで「幸せホルモン」に満たされ、心身を健康にするケア手法。
「皮膚は“露出した脳”といわれるほど、さまざまな感覚を持っている」と髙山さん。「皮脳同根(ひのうどうこん)」という言葉が示すとおり、皮膚と脳は密接につながり、影響を与え合っています。
病気やけがの処置を「手当て」といいますが、医学の祖とされる古代ギリシャの医師ヒポクラテスも、マッサージなど手で触れる治療を重視したそう。
皮膚をなでて「気持ちいい」と感じると、脳でオキシトシンが分泌されますが、これがいわゆる「幸せホルモン」。ストレスホルモンの減少、痛みの軽減、免疫の活性化、皮膚のバリア機能の強化などのほか、幸福感を高めたり人との信頼関係を強めたりなど、さまざまな効果があると、髙山さんは強調します。
【髙山さんお勧めのタッチケア】
▽顔のハンドプレス
頬や目元、額や口元などを両手で優しく包み込み、それぞれ10~20秒ずつ、軽くプレスします。起床したときにハンドプレスするとやる気を高め、寝る前にすると眠りに誘ってくれます。
顔には「C触覚線維」と呼ばれる神経線維が密にあります。C触覚線維に与えられた刺激は、自律神経やホルモンを調整する視床下部、感情に関わるへんとう体など、脳の広い範囲に伝わるほか、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスを整えてくれるともいわれています。
C触覚線維は人肌くらいの温度で最も活性化するといわれているので、手で触れると効果的なのです。
▽前腕のセルフトリートメント
前腕にもC触覚線維が集中。手首から肘にかけて優しくマッサージしたり、指と指の間の付け根を軽く刺激したりします。
ポイントは手をゆっくりと動かすこと。C触覚線維は秒速5センチ程度の速さでなでたときに反応するからです。マッサージオイルを使うのもお勧め。
▽頭皮のタッピング
「帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)」と呼ばれる頭頂部を1秒間に2回くらいのペース1分程度タッピングします。
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いずれのタッチケアでも大事なことは、「触っている、触られていて気持ち良い」という感覚をしっかり意識してやること。余計なことは考えずにやりましょう。
また、お気に入りのアロマをスプレーしたりたいたりしながら行うと、さらに効果的。
香りの刺激は、臭覚受容体を経て、視床下部やへんとう体などに直接届きます。タッチケアと香りの双方から脳に良い刺激を送ることで、体のバランスを整える力をさらに高めることが期待できます。
オキシトシンは、触れられた人よりも触れた人の方が多く分泌されるといわれています。身近な人や自分に優しく触れて、心身の健康を育んでもらえたらと思います。
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