どう教える?子どもの“片付け”

松本シュタイナー認定こども園ひなたぼっこ 神澤園長に聞く

毎日のように「片付けなさい!」と子どもに言ってもなかなか片付かず、うんざりというママも少なくありません。「育てやすいこどもの環境づくり」と題して、保護者など向けに講演会を開いている松本シュタイナー認定こども園ひなたぼっこ(松本市波田)の神澤真江園長に、子どもへの声掛けや片付けの仕方、考え方などを聞きました。

―子どもが自ら片付ける方法はありますか?
「最初は親と一緒に片付けるのがいいでしょう。『おもちゃはここにしまおうね』『洋服はここに置こうね』と声を掛けながら繰り返すと、だんだんと親が言わなくても自分でできるようになります」
「先に親が片付けやすい配置や導線を作っておくのもポイントです。親の大きな価値観に子どもの価値観を入れるイメージです。例えば園や学校に着ていく洋服だけを引き出しに入れておき、『この中の物ならどれを選んでもいいよ』と言うと、自分で自由に選ぶことができ、認められた気持ちになります」
―おもちゃを次から次へと出して遊んでしまう場合、違う遊びになったら一度片付けさせた方がいいですか?
「電車で遊んでいたと思ったらブロック遊びを始めるなど、子どもはいろいろな興味があちこちにいきます。散乱するおもちゃを見るとため息が出ますが、その都度片付けなくても大丈夫です。なぜなら子どもはさまざまなおもちゃを組み合わせながら、たくさんの世界(ファンタジー)を楽しんでいるからです」
「その時しか浮かばない発想力やアイデアを身に付けることができるので、片付けはご飯を食べる前や寝る前など区切りのときでいいと思います」
―散らかったおもちゃを早く片付ける方法や順番などはありますか?
「まずは大きい物から片付けます。それが終わったら細々したものを一カ所に集め、そこからブロック、折り紙、縫いぐるみなどざっくりと仕分けをします。仕分けまでは親がサポートすると、子どもは仕分けたものを元の場所に戻しやすくなります」
―ご飯を食べている最中に遊び始めてしまう場合、どう対処すればいいですか?
「子どもは目に入った物に意識が向きやすいです。おもちゃに意識が向かないように無地の布を掛けるだけでも効果的です。もっと簡単な方法は、おもちゃのある場所に背を向けて座らせます。家族の顔と料理だけを見えるようにすると、ご飯に集中しやすくなります」
―片付けが苦手な親は、子どもにどう教えればいいですか?
「他人からは散らかっているように見えても、本人にしか分からない取りやすい位置など自分の価値観があるはずです。整然と並んでいるのが正しいとは思わず、自分のやりやすい片付けでいいと思います」
「親と子どもの片付け方が合わない場合もあります。その子に合ったやり方を親がサポートしてあげてください。例えば園や学校から帰ってきてかばんや上着を玄関に置きっ放しにしているなら、玄関に荷物置きやフックを取り付ける。リビングに持ってくるようなら部屋に荷物を置く定位置をつくるなど、その子の行動に合わせて親が配置を考えるといいです」
「親の価値観を押し付けたり、逆に諦めて放置したりするのではなく、まずは『これだったらできるかも』『このやり方はどうだろう』と投げ掛けてみて、うまくいかなかったら違うアイデアを試す。綱引きのようにお互いの落としどころを探りながら、親子のコミュニケーションを楽しんでほしいです」

【松本シュタイナー認定こども園ひなたぼっこ】静かな暮らしの中で感性を育み、園児一人一人の個性を大切にするシュタイナー教育を根幹に掲げる。県が自然環境を生かした保育・幼児教育を進める制度「信州型自然保育(信州やまほいく)」の、「特化型」の認定を受けている。昨年4月に波田に新園舎が完成、これまで拠点だった梓川梓の古民家も利用しながら保育している。園児は未満児から年長児まで現在30人。TEL0263・74・1503