
思考力や集中力に必要 ブドウ糖は主食で取る
受験シーズン真っただ中。頑張る子どもが100%の力を発揮できるよう、親は食事で応援したいものです。元栄養教諭の鳥羽美智子さん(安曇野市豊科)に、受験生の食事に関するポイントなどを聞きました。
-勉強に効果的な食べ物は何ですか。
「脳のエネルギー源はブドウ糖です。エネルギーが不足すると思考力や集中力が減退してしまう。ブドウ糖を取るためには主食(炭水化物)が大切です。まずはしっかり主食で糖質を取りましょう」
「手軽に脳にエネルギーを入れようと、甘い飲み物やチョコレートを頻繁に取るのは逆効果かも。ブドウ糖や砂糖を直接取ると血糖値が急上昇し、その後急降下します。この時イライラしたり眠気に襲われたりするので、おやつに少し取るくらいがいいでしょう」
「記憶力アップには、脳内で記憶や学習に関係するアセチルコリンを作る基になる大豆、枝豆、ピーナツ、卵、レバーが良いといわれています。脳細胞を刺激するとされるDHA(ドコサヘキサエン酸)を含む魚もいいですが、アレルギーがある、苦手だという場合は無理して食べさせず、大豆にしましょう」
「魚の生臭さを消すにはカレー粉やヨーグルトを使った風味付け、マヨネーズを用いた調理がお勧めです。すり身にしたり、缶詰やさつま揚げなどの加工品を利用したりするのもいいです」
-お薦めの朝ご飯、おやつは。
「昔ながらの日本食です。糖質が取れるご飯と野菜たっぷりのみそ汁、それに納豆、卵のおかず、おひたしやサラダを付ければバランスの良い朝食になります」
「おやつは蜂蜜入りホットミルクがお薦めです。脳にエネルギーが届き、やる気が出ます。他にはビスケット、加糖ではないヨーグルトなど消化が良いものを、食事に影響がない範囲で取りましょう。炭酸飲料やスナック菓子は糖分と脂質が多く含まれるため、1食分より高エネルギーになる場合も。できるだけ避けてください」
良質な睡眠には食事時間も重要
-塾で遅くなる時の食事は。
「質の良い睡眠を取るには、寝る2時間前までに食事を済ませておきたいです。逆算して考えてみてください。塾から帰宅後に夕食を取る場合は、行く前に牛乳、おにぎりを食べる。または早めの夕食を食べ、帰宅後は軽食でもいいでしょう。塾の後は疲れているので何か食べたくなりますが、遅い時間の夕食や軽食、夜食では取るエネルギーを控えましょう」
-緊張や不安で食欲がないとき、ピリピリした気持ちをほぐすには。
「食欲がないときは、エネルギーが取れて消化の良い蜂蜜やバナナ、サツマイモなどがお薦めです。寒い時期は鍋料理や具だくさんみそ汁など、一品で栄養素がたくさん取れるものもいいです」
「ピリピリした気持ちをほぐすには牛乳を。興奮を静めて心の安定を保つ脳内ホルモン『セロトニン』の基になるトリプトファンが多く含まれています。牛乳が苦手な場合は、鍋物、クリームシチュー、グラタンなどに使う方法もあります」
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受験生だからと特別な料理を作るよりも、普段の食生活で少し意識することが大事です。勉強の合間に親子でホットミルクを飲みながら一息つく。子どもがリラックスできるコミュニケーションを取ることも大切ですね。