
somethingtender店主 本橋卓さんに聞く
辛みや香りなど個性的な風味が料理を一段と引き立てるスパイス。植物由来の特徴は、体調を整えるためにも活用できます。インド風スパイスカレーを提供しカレー教室も開く「カレーとおやきの店somethingtender(サムシング・テンダー)」(松本市大手4)の店主、本橋卓さん(45)に代表的なスパイスの効能と簡単に作れる副菜を聞きました。
季節や体質に合わせバランス良く
スパイスは、胃腸や肝臓の働きを整えるものが多いです。インドが発祥の伝統医学「アーユルベーダ」にも使われてきました。今回は一般的なカレーに使うスパイスを主に説明します。
キャラウェイシードは料理や菓子に使える万能スパイス。爽やかな香りとほのかな甘みが特徴で、腸内環境を整え消化作用にも優れています。
黄色い色付けに欠かせない「ターメリック」は「ウコン」の名前でも知られ肝機能を向上させるほか、殺菌、抗菌作用があり、オイルと混ぜマッサージに使われることもあります。「コリアンダー」は香草「パクチー」の種子ですがパクチーとは違う風味。消化を助け、ほのかなかんきつ系の香りが気持ちを落ち着けるともいわれます。
「クミン」は爽やかな香り。消化促進や血中コレステロールの改善などに。「フェンネルシード」は爽やかさと甘みのある香りでインドでは食後の口直しにかむ習慣も。食べ過ぎなど胃が重い時にも少しかむだけで胃がすっきりします。
「カイエンペッパー」は赤唐辛子で体脂肪の燃焼、食欲増進に。発汗作用で体を冷やすので夏にお勧め。独特の香りが菓子や飲み物にも合う「シナモン」は、じわじわと体を温め蓄熱するので冬の冷えにいいでしょう。季節や体質に合わせてバランス良く取り入れるのが大切です。
料理に用いる際は、粉状のものと粒状とを使い分けて。粉状は粘性が出るのでカレーのルーなど、とろみを出したい場合にお勧めで、粒はさらっとした仕上がりの料理や風味付けに。ピクルスや煮込みなどは粒の方が成分がじわじわ出てきます。軽く炒めることで風味が増す物も多いですが、焦げると苦味になってしまうので注意を。
数多くのスパイスから、まずそろえるならクミン、ターメリック、コリアンダー、カイエンペッパーがお薦め。これらがあるとカレーも作れるし応用もできます。スパイスを利かせておいしく食べることは健康にもつながります。気軽に取り入れてみてください。
【本橋さん流 スパイス料理レシピ】

「ホウレンソウのキャラウェイあえ」
【材料】(2人分)
ホウレンソウ(青菜なら何でも可)…1束
★ナンプラー…小さじ1
★ごま油…小さじ2
★米酢…小さじ2分の1
★キャラウェイシード…ひとつまみ
★カイエンペッパー…ひとつまみ
【作り方】
①沸騰した湯でホウレンソウをゆで、水に浸した後、ざるに上げて塩小さじ2を分の1(分量外)を振り水気を絞る。
②ボウルにざく切りにしたホウレンソウを入れ、★の調味料を混ぜる。
*共に個性の強いナンプラーとキャラウェイシードの相性が良い1品。

「キャベツのアチャール(スパイスオイル漬け)」
【材料】(2人分)
キャベツ…半玉分(約450㌘)
なたね油(ヒマワリ油や米油でも可)…大さじ3~6杯
クミンシード…小さじ2分の1
塩…小さじ2
★ターメリックパウダー…小さじ1
★カイエンペッパー…小さじ1(辛さが苦手な場合はパプリカで代用)
★コリアンダーパウダー…小さじ1
レモン汁50㏄
【作り方】
①キャベツを一口大に切る。
②深めのフライパンに油を入れ中火で温めてから、クミンシードを入れ軽く色が付くまで炒める。
③②に塩を振る。水分が出ててくるのを待ってから、★のスパイスを油の中心に入れ溶かす。
④③にキャベツを入れて軽くからめた後、レモン汁も入れて2、3分、炒める。
*キャベツの硬い部分もおいしく食べられる。密閉容器に入れて冷蔵庫で2~3日は保存でき、冷たいままで食べてもいい。