【なないろキッズ】 #68 視覚支援を日常に

自閉スペクトラム症の特性がある方の支援として、視覚支援(絵、文字、図など見える形での情報伝達)は基本の「き」といえるのですが、日常生活の中に取り入れづらく、もどかしく思っています。ハードルになるのが、低年齢の段階で多用する絵カード作りにやや手間がかかり、視覚支援は療育や特別支援など、特別な場所でやってもらうものと思われがちなところかと思います。
知的障害のない自閉スペクトラム症の方は会話はできるので、普通の音声言語で伝わっているように思えてしまうのですが、イメージしているものがすれ違ってしまったり、イメージしにくかったりして十分に伝わっておらず、よく分からないまま誤解や不安を募らせてしまいます。
視覚的に本人に分かる形で情報提示し、納得・合意して行動することを重ねていくことが、ストレスの少ない健やかな成長につながります。少しだけ手間をかけても、日常生活の中で視覚的に伝えることを取り入れていきましょう。
幸い今の時代は誰でもスマホを持っているので、ウェブ上にあるイラストを検索したり、カメラで写真を撮ったりすることが気軽にできます。そうした素材を使って絵カードを作ったり、手書きでイラストを描いたりしやすくなっています。
絵カードを作る際は、ウェブ上で無料で絵カードを作製できるサイトや、アプリもあります。印刷は、プリンターがなくてもコンビニのネットプリントで間に合います。100円ショップでマグネットシートとホワイトボードを購入すれば、スケジュール・カレンダーと絵カードはもう作れます。視覚支援が役に立つと実感できたら、プリンターも購入することをお勧めします。自閉特性のある方には生活必需品といえるものです。