
子どもの頃によく遊んだ折り紙が、大人の脳トレとして注目されている。色を選び、手先を使い、出来上がりを想像しながら作るのが脳への刺激になるという。松本市の浅間温泉手しごと館で、手芸作家の尾身佐代子さん(53、安曇野市豊科高家)が指導する「脳トレ折り紙教室」を訪ねた。
教室では折り紙に取り掛かる前にまず、手の体操をして、こわばりをほぐすことから始める。指先から腕の方まで自分でもみほぐし、眼球を上下に動かす運動も。その後この日は、30面体のくす玉作りに挑戦した。
さまざまな色や柄の折り紙の中から、完成形を思い描いて紙選び。「カラフルな色を見るだけで脳への刺激になります」と尾身さん。
尾身さんの教室は、一つ一つの工程を見せながら一緒に折るのが特徴。30面体は同じパーツを30個作り、球体に組む。完成形を想像しながら組み合わせると、普段使わない脳を使うという。
この日参加した安曇野市の50代女性は、組み立て始めると「頭がこんがらがってきたぞ」と戸惑った様子。尾身さんが「間違ってもやり直せばいいのよ」と声掛けすると、女性はこつをつかんだようで「折り紙の本を見てもよく分からないけど、直接教えてもらったら意外とできた」と完成を喜んだ。
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参加者は60~70代が中心。同じパーツを幾つか折り、組み合わせて形にする「ユニット折り紙」を主に作る。
「新しいことを覚えるのは楽しいし、折り方を友人に教えるのも脳トレになります」
家に1人でいて一言もしゃべらないという高齢者こそ、教室に来て、会話をしながら手を動かすことを勧める。「折り紙をやった日はよく眠れる」と、頭を使うことを実感する参加者もいるからだ。
尾身さんは「折り紙は紙さえあればどこでもでき、作品が出来上がる喜びがある。1、2ミリ折り目がずれても大丈夫。高齢者も気楽に楽しんで」とアドバイスする。
手しごと館での教室は不定期開催。