NPO法人「森倶楽部21」副理事長森芳昭さんに聞く チョウを指標に森づくり

長峰山のチョウテーマに製作絵本を出版

安曇野市東部に位置する長峰山は、山頂から北アルプスや安曇野平を一望できる、子どもから大人まで人気の高い里山です。そこの森林整備に取り組むNPO法人「森倶楽部21」(永田千惠子理事長)がこのほど、絵本「レモン色のチョウうまれたよ」(風來舎)などを自費出版しました。絵本に込めた思いや、全国でも珍しいチョウを指標とした森づくりについて森芳昭副理事長(66、同市堀金烏川)に聞きました。
★絵本への思い
この絵本は、2003年に初めてチョウの道を整備した時の話が基です。
私たちが活動を始めた00年、長峰山はアカマツを中心とした荒れた森でした。麓から見ると緑の木々で覆われていて自然豊かに見えましたが、いざ入ろうとするとうっそうとしていて足元はやぶだらけ、風通しが悪くて光も入りにくい。気分が悪くなる人もいました。
手始めに木を伐採して森の中を明るく、風通しを良くしてみたところ、ほぼ姿を消したと思われていたスジボソヤマキチョウがどこからか来てくれました。さらに牧草地の土をひっくり返すと、翌春にはたくさんの在来植物がよみがえり、昆虫や鳥も多数姿を現しました。
自然に手を入れることで多くの生き物たちが戻ってくる─。絵本ではその様子を伝えています。これを読んだ子どもたちが、地元の里山について興味を持つきっかけになればと願っています。
★森づくり
チョウ類研究家の故・浜英一さんのアドバイスを受けて、チョウを指標とした森づくりに取り組んできました。チョウには森林性種と草原性種があり、食べる植物がそれぞれ違います。
チョウの種類が増えるということは、植物の種類も増えているということ。多様な環境があることの証しであり、チョウの調査を通して里山の自然環境がどう変化しているかが分かります。
自然保護というと手を加えてはいけないと思われがちですが違います。人が自然に手を入れることで多様な生物が生きられる環境を生み出し、それによって自然からは食料をはじめ燃料用のまきや炭、田畑に入れる肥料、家畜の飼料などの資源を頂いてきました。
★里山を次世代へ
里山を守り子どもや孫につないでいくには、森林整備をするお金があればいいという発想では駄目。「豊かな自然を残したい」と思う子どもたちを増やすことが大切です。そのためには子どものころに自然に親しんだ原体験が重要です。
森を知る一歩として「生き生きとした森」を感じることから始めるのはどうでしょう?森の中に入ってみて気持ちがいいか否か。そして遠くまで樹間が透けて見えるか、光の射し込んでくる様子や枝の張り、葉の茂り方をよく観察してください。季節によって出合える生き物や植物が違うので、何度か行くと分かることもあります。
長峰山には特別なものはありません。でも当たり前にあったもの、いたものが、当たり前のように世代を繰り返していく。そんな環境を残していきたいと願っています。

絵本(800円)と20余年にわたる活動をまとめた本「蝶と長峰山と私たちと─手づくりの里山再生20年の記録」(1800円、風來舎)の購入は、同倶楽部のウェブサイトQRコードから。問い合わせは永田理事長TEL0263 ・58・0360

【NPO法人森倶楽部21】1997年に開かれた地球温暖化防止京都会議をきっかけに、環境問題に興味を持つ市民が集まり「信州気候フォーラム」を発足。その森林部会が2000年5月に「森倶楽部21」と改名し、さまざまな分野の専門家の指導の下、長峰山一帯をフィールドとした森林整備に取り組んでいる。09年には長峰山と周辺の見どころなどを紹介したガイドブック「里山とともに」を発行。子どもも対象のミニ自然観察会、森林整備の体験や木工製作なども随時開催している。