工事現場で奮闘“土木女子”

大変でも感謝の言葉励みに

女性があらゆる職場で働くのが当たり前になったとはいえ、男性が多い建設・土木業界の、中でも現場で働く女子は少ない。その中で、創業100年を超える業界の老舗、松本市の村瀬組(里山辺)に入社して4年目の新谷(しんや)夏加さん(22、寿北)は、「工事部」に所属。季節や昼夜を問わず、現場で奮闘している。

現場代理人として指揮・調整

美ケ原高原や扉温泉に至る同市入山辺の県道67号線。桜清水への分岐を過ぎ、数百メートル進んだ場所が、新谷さんの今の現場だ。昨年7月に着工した約40メートルの道路拡幅工事。新谷さんは工事を指揮する「現場代理人」だ。
毎日午前7時半には、現場近くの事務所に着く。安全管理や工事の進み具合の確認、資料作成のほか、発注元の自治体や協力会社との打ち合わせ、地元住民へのあいさつ回りなどをこなす。
現場の作業員や、打ち合わせの相手はほぼ年上の男性だが、「私の言うことは、みんな気持ち良くやってくれる。嫌な思いをしたことはない」。気後れは全くない。

高校時代「格好いい」と憧れ

将来どんな職業に就くか、漠然と考えていた高校時代。登下校の途中、汗だくで道路工事をしている作業員の姿が目にとまり、「格好いい。これが私の仕事」とピンときた。
県内の建設業で働く女性らの組織が催した「仕事体験会」に参加。村瀬組の村瀬直美社長(71)から名刺をもらい、当時は自分と同世代の女性社員もいたことなどから、同社を志望した。
入社1年目は、先輩社員の下で現場代理人の見習い。同社では通常、現場代理人を任せるまで3、4年かけるが、新谷さんは2年目で、その仕事がしたいと直訴した。村瀬陽一常務(36)は「社長をはじめ、最初は『大丈夫か?』という声もあったが、本人の熱意に押された」と振り返る。
現場代理人としての初仕事は、2019年の松本市道の改良工事。約1カ月にわたる夜間の工事で、影響を受けるコンビニエンスストアもあったため、「店の人と、とにかく打ち合わせを繰り返した」と新谷さん。その現場を無事にやり遂げた。工事の出来の良さに加え、苦情が1件もなかったことなどが評価され、市の「優良建設工事表彰」を受けた。
昨春、後輩となる女性1人が入社し、現場に出る女性社員は2人になった。新谷さんは「後輩ができてうれしい。思ったより大変な仕事だが、自分が携わった現場を通った時に、『きれいになったな』とうれしくなる。そして、地元の人に『ありがとう』と言われるのが何よりの励み」と笑顔を見せる。