古民家でゆったり カフェと古物屋

洗馬へ移転 カフェの原点に

塩尻市洗馬の築160年の古い民家で、加藤博さん(60)、敏江さん(57)夫妻が「カフェたね」と「古物屋こはく」を始めた。店内の共有スペースで、2人が気に入った地元の商品を販売。こはくでは、地元作家の個展も企画する。
昨年まで伊那市内で「カフェたね」を8年ほど開いていた敏江さん。博さんは2年ほど前に会社を退職、古い家具に手を入れてカフェで販売を始めた。生活を見つめ直し、自分たちの年齢を考えた時に「住まいとカフェ、工房を一つにしたい」との思いで一致。物件を探し、洗馬の古い家にたどり着いた。
水回り以外は電気工事の仕事をしていた博さんを中心に2人でリノベーションした。住宅地の中でひっそりと「カフェ+古物+α(アルファ」の営業をする同店を訪ねた。

思い出深い味や一つだけの家具

「たね」と「こはく」は、道路からだと見逃してしまいそうな小さな看板の奥にある古い家。優しい笑顔の加藤さん夫妻が出迎えてくれた。物販スペースを挟んで右側が「たね」、左が「こはく」だ。
玄関正面は物販スペース。伊那市のインテリア用品店「ワイルドツリー」の蜜ろうキャンドル、洗馬に越してきてから出合ったというぶどうジュースなどを販売する。
「たね」は、博さんが作ったテーブルや手直しを施した家具が置かれ、ゆったりとした時間が流れる空間だ。ドリンクメニュー(440円~)のほか、クリームあんみつなどのおやつと軽食がある。
2種類ある軽食のうち、トマトベースの汁にチーズと厚切りベーコンの熱々洋風うどん(1000円)は、敏江さんが小さい頃、近くの甘味屋が出していた思い出深い品。もう一つはキーマカレーサンド(780円)。スパイスの本に出合って作り始めたキーマカレーは、10種類のスパイスで煮込む。辛さは少ないがスパイスが効いた味が気に入り、メニューに加えた。
「こはく」には、古いテーブルやガラス扉の書棚などが置かれている。仕入れた古家具は当初べとべとしていたり、扉が開かなかったりするが、使えるよう手を入れる。「全部きれいにしてしまうと味がなくなる。その加減が悩ましくもあり、楽しくもある」と博さん。年代物とかアンティークとかにこだわらず、味のある一つだけの家具をテーマに作業を続ける。

物販さらに充実 作家の企画展も

東京出身の2人が伊那に移住したのは20年ほど前。8年前に敏江さんが、自宅から約1時間ほどかかる市街地で「カフェたね」を始めた。山が好きで木工が好きな博さんは、2年ほど前から自宅で家具を手入れし「たね」で販売を始めた。
「ゆっくりしてもらいたい」と始めたカフェだったが、週替わりの定食が人気の店となって「忙殺されていた」と当時を振り返る。通勤が大変に感じるようになり、店が手狭になったこともあり、コンパクトな生活を求めて見つけたのが洗馬の民家だった。カフェも原点に戻し、「ゆっくりと過ごしてもらえる」空間を重視して、1月に移転オープンした。
物販コーナーも今後、地元塩尻ゆかりのものなど品ぞろえを増やしていく予定だ。午前11時~午後4時。月、火曜定休。
2~13日は「紙束個展」を開く。製本の際に出る紙の端材で作るオブジェや紙束ランプシェードなどを展示。6日と13日には、紙でドライフラワーの花器を作るワークショップ(1500円)も開く。詳細はインスタグラム=こちら。TEL0263・87・7485