84歳安曇野の花岡さん プラス社会貢献「ながら歩き」を

心身の健康に 魅力伝えたい

安曇野市豊科南穂高の花岡伸泰さん(84)の得意技は「ながらウオーキング」。といっても、音楽を聴きながらや、スマートフォンを操作しながらではない。パトロールをしながら、ごみを拾いながら、といった社会貢献活動を「しながら」のウオーキングだ。
大病の後、健康のために─と始めたウオーキング。魅力を多くの人に伝えたいと、講師の資格を取得。旅行会社で、ウオーキングを取り入れたツアーガイドとして活躍したことも。退職後、自宅周辺を歩いたり、歩く会を結成したりするうち、ウオーキングの時間を地域のために有効に使うことを思いついた。
ひきこもりの子どもと一緒に楽しむなど、「歩きながら」人の輪を広げる構想も膨らませている。

講師やツアコン資格を取得して

花岡伸泰さんのウオーキングのお供は、ほうきとちりとりだ。取材した日、花岡さんは、安曇野IC近くの県道57号の歩道縁石部分をはいた。周囲を見ると、ごみやたまりやすい泥、草もなく、きれいに保たれている。花岡さんが、ずくを出して取り組んでいる成果だ。
65歳で、脳髄膜炎を患った。最初は原因が分からず、余命宣告を受けたほどだったが、回復、健康の大切さを実感した。勤めていた安曇野市穂高の会社を退職し、やりたいことを模索していた時期。健康づくり、リハビリを兼ね、当時、自宅があった千曲市で千曲川の土手を歩き始めたのが、ウオーキング人生の始まりだった。
「何もできないが、歩くこと、話すことは自信がある」。その特技を買われ、長野市の旅行会社に就職、ウオーキングツアーのガイドとして再スタートを切った。「日本ウオーキング協会」の指導員資格も取得。10年かけて専門講師になった。国内旅行ツアーコンダクターの資格も得た。
2010年、安曇野市に戻り、市健康推進委員会の会長など地域の健康づくりにかかわる役職を経験。2015年には、地元で「寺(てら)所(どこ)歩こう会」を立ち上げた。19年には、もっと多くの人に参加してもらおうと、「安曇野市歩こう会」と改名。現在は安曇野市全域や松本市などに約70人の会員がいる。
歩きながらごみを拾い始めたのは8年前。歩きながら「ごみがたくさん落ちてる。道路がきれいなら、歩く人もドライバーも気持ちいいのでは」と、ふと思ったのがきっかけだった。その後、草取りや泥取りと手を広げ、道路の美化に努めるようになる。県道57号の安曇野インターチェンジ(IC)を中心に、道の両側計3・5キロが花岡さんの「テリトリーだ。長野道の側道などもごみ拾いし、年間320~330日を作業に充てている。

イベント企画 参加者を募集

さらに、社会貢献につながれば─と、安曇野署や安曇野防犯協会連合会が呼び掛けるウオーキングパトロール隊にも参加。子どもへのあいさつも心掛ける。
「歩くことは、心身の健康につながる。ここ10年は、風邪もひいたことがない」。自らの体験を通し、培った信条だ。多くの人に伝えたいと、「安曇野市歩こう会」で、年間20回以上のウオーキングイベントを企画。6月頃には、1泊2日で糸魚川までの片道ウオーキングに挑戦する予定で、現在、参加者を募っている。
歩きながら思いついたことを実行に移す行動力もある。地域活性化や誘客を狙い、県道57号沿いにある飲食店などの商店会を設立。1軒ずつ回り、参加を呼び掛ける。国営アルプスあづみの公園の2地区をつなぐ歩道の実現も夢に描く。
健康長寿、認知症予防など、歩く効果はさまざま。次はどんなことができるのか─。花岡さんは、社会貢献もプラスした「ながら歩き」を、楽しみながら続ける。花岡さんTEL090・8002・2892