自閉スペクトラムのある方の中に、月経が始まってから心身の体調不良で苦労されている方が少なくありません。自閉スペクトラム症の特性として、変化に対応することが苦手ということがあり、体の成長に伴う変化や対処になかなか慣れにくいことがあります。
また心身の体調変化に気付きにくい方もいて、不調なのに普段通りに頑張ってしまい倒れてしまう人もいます。また体調不調があることを、他人に相談したり、訴えたりすることがコミュニケーションの苦手さゆえにスムーズにできなくて一人で抱え込んでしまう方もいます。
月経に関わる体調の変化は、人によって重さが異なります。大きなダメージが少ない人がいる一方、月経痛や頭痛、倦怠(けんたい)感、消化不良などの体調不良が強く出る人もいれば、月経前後にメンタルが崩れやすい人もいます。経血量も少ない人から多い人までさまざまです。
こうしたことはなかなか他人と比べにくく、本来サポートしやすい親子でも体調の現れ方は異なるので母親は大したことないと感じていても、娘はすごくつらいということも起き得ます。月経に関連して起きうる心身の不調について、こういうことが人によっては起きることがあるということを、具体的に伝え、つらさの程度について具体的に数値化するなどして確認するようにするとよいでしょう。
また月経痛などについては鎮痛剤の使い方を医師に具体的に教えてもらっておくほか、学校と、休息の取り方、不調な時の保健室の利用の仕方、体育などの授業の休み方、早退の仕方なども具体的に打ち合わせしておくことが必要です。体調によっては欠席することが必要な場合もあります。
月経前に特にメンタル面がうつ状態になりやすい方もいたりします。月経関連で心身の不調が強い場合は、医師にも相談することをお勧めします。
【なないろキッズ】 #69 月経と心身の不調
- 2022/03/08
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ