障害者が林業に―農福連携で山福農林舎が受賞

日本社会復活の鍵 農村部に

筑北村西条の特定非営利活動法人「わっこ谷の山福(やまふく)農林舎」は、農林水産省などが農福連携の事業を表彰する「ノウフク・アワード2021」で、取り組みを始めて5年以内の団体が対象の「フレッシュ賞」を受賞した。
障害者の就労継続支援B型事業所でもある同法人は樹木の伐採やまきボイラーの運用などをしている。
和栗剛代表(46)は「林業と福祉の連携は珍しく、(温室効果ガス排出量を実質ゼロにする)カーボンニュートラルへの寄与も評価されたのでは」と指摘。「山福を知ってもらうきっかけになれば。メンバーとスタッフの誇りや肯定感にもつながる」と喜んでいる。
本年度のアワードには全国の205団体が応募し、県内では同法人が唯一受賞した。

山林整備や農業 資格取得など支援

「わっこ谷の山福農林舎」の前身は、筑北村社会福祉協議会が2016年に始めた農林業代行サービス。高齢世帯の草刈りなどから始めたが、ニーズの拡大で3年後に法人化した。利用している就労訓練者は、20~60代の15人。チェーンソーや草刈り機の資格取得や安全教育面などで支援している。
主な事業は、樹木の管理や伐採、農作業請負、温泉施設のまきボイラーの運用、製材など。山林整備で伐採した広葉樹はまきとして販売する。住民から買い取った間伐材や小径木は、20年から村内の温泉施設で稼働が始まったまきボイラーの燃料として使い、年間4万~5万リットルの重油削減につながっている。
ほかに、高齢化などで耕作されなくなった畑を借りるなどした2・5ヘクタールの農地で、古代の小麦「スペルト」やニンニクなどを有機栽培。今秋にはリンゴの収穫も見込む。農作物は地域の農家を通じて全国に販売するほか、2月にはウェブショップも開設した。主に女性メンバーが作っているアカマツの精油や、クラフトなどに使われるエンジュ製材などを扱っている。
同法人について、就職を目指して通っている青木智久さん(31、坂北)は「協力し合ったり、差し入れをいただいたり、楽しく働けている」。和栗剛代表は「誰かの役に立ったという体験が彼らの力になる」と話す。

受賞対象で唯一村に拠点 誇りに

和栗代表は東京都町田市出身。精神保健福祉士と社会福祉士の資格を持ち、川崎市で強度行動障害のある人が通ったり障害者の就労支援をしたりする施設を立ち上げて運営していた。
長男を授かった08年に「自然豊かな村で子育てをしたい」と、各地を見て回っていた。そんなある日、立ち寄った坂北駅で声をかけた人から「(同村が)障害者の居場所を必要としている」と聞き、この地域に移り住もうと決めた。現在は麻績村に居を構えている。
同法人は「ノウフク・アワード2021」の受賞対象で唯一、村に拠点を置いている団体。和栗代表は「そのことが特にうれしい。コロナ禍などで移住先としても注目されている農村部には、日本の社会が息を吹き返すきっかけがあると思う」と指摘。今後の活動については「支え合いの精神、林業、農業、人といった村の『宝』をつなぎ合わせ、障害のある人や外国人など多様性を認め合う風土づくりをしていきたい」と話している。