元五輪選手・小林さん監修―安曇野初MTBコース完成

安曇野市堀金烏川の里山に、市内初の本格的なMTB(マウンテンバイク)コースが完成した。
「コースができたのを機に、若者が山に入って安曇野の魅力を発信し、地域の活性化につながればいい」。MTB競技のアトランタ五輪代表でコースを監修した小林可奈子さん(51、穂高)は、そう期待する。
小林さんは、自身が主宰する「MTBクラブ安曇野」のメンバーと一緒に、約2年間にわたって市と協働のコース造りに奔走してきた。「自然の地形を生かした、誰もが楽しめるコースになった」と胸を張る。
4月23日にはオープニングセレモニーを予定。小林さんは「ここがスタート地点。コミュニティーの場としての可能性も探りながら自転車文化を定着させたい」と話している。

魅力発信・地域活性化へ

完成した「安曇野市マウンテンバイクコース」は、西部山麓地域に位置し、温泉宿泊施設「ほりでーゆ~四季の郷」のさらに西側にある。下堀扇町内山生産森林組合が所有する里山だ。
MTB(マウンテンバイク)クロスカントリー競技の初級者向け(全長1140メートル)、同中級者~上級者向け(同3280メートル)、MTBダウンヒル競技用のコース(全長1686メートル)の3コースが設定されている。
どのコースからも北アルプス常念岳が間近に望め、標高1109メートルにあるダウンヒルコースのスタート地点からは、普段はあまり見ることができない眺望が楽しめる。

地形生かし里山を整備

コースを監修した小林可奈子さんは2019年、「自転車による街づくり」を目指す同市から、市街地のサイクリングコース設定の依頼を受けた。それをやり遂げた後、第2弾として環境、教育、健康づくりをテーマに、西部の里山を使った安曇野らしいMTBコースの整備を提案。20年に市が整備方針を示して以降、「MTBクラブ安曇野」のメンバー約20人と里山に入って踏査を始めた。
ササなどが生い茂った道なき道にコースを整備するのは至難の業だ。「みんな山作業で使うような道具を購入した。踏査を始めてからはほぼ毎日、誰かしらが山で作業をしていた」と振り返る。
翌年8月に市が本格的に着工。小林さんがこだわった「自然の地形を生かしたコース」にするため、人の手でできるところは、できるだけ機械に頼らずに仕上げた。

1996年のアトランタ五輪に出場した小林さん。その後、いったん一線を退いたが、教室などで指導するには「現役バリバリの方がいい」と14年にレースに復帰。同じ競技で次回のパリ五輪を目指している長女のあか里さん(20)をサポートしながら、自身は「生涯現役」を宣言している。
小林さんは「最近になって、五輪に出たことを誇りに思うようになった」と明かす。それは各地でMTBを子どもたちに教える際、「元五輪選手」と紹介されると教わる子どもたちの表情が明らかに変わるからだ。そして今回のコース整備こそ「オリンピアンとして出した『答え』」という。
コースの周囲には烏川渓谷やキャンプ場、宿泊施設などがある。そこにMTBが加われば、アウトドア施設としての魅力が増し、地域の活性化にもつながる―。コースづくりを、自分を五輪選手に育ててくれた地元への恩返しと考えている小林さん。コースから子どもたちの歓声が聞こえた時、自分の出した「答え」の意義を最初に実感するに違いない。
コースに関する問い合わせは市生涯学習課TEL0263・71・2000