感謝と願いを込め-こども病院で「いのちのともしびプロジェクト」

癒やしの明かり500個の灯籠

安曇野市豊科の県立こども病院で8日夜、500個の灯籠に明かりをともす「いのちのともしびプロジェクト」が開かれた。企画したのはこの病院で命をつないだ患者の1人で、今月エクセラン高校(松本市)美術科を卒業した花岡瑛斗さん(18)。一夜限りの舞台裏をカメラで追った。

「生きる勇気」につなげて

花岡さんは、生まれつきの心臓病でこれまで計4回、同病院で手術を受けた。プロジェクトは高校卒業後、地元を離れるのを機に、18年間世話になった病院や医療関係者に感謝の気持ちを伝えたいと計画。美術科の生徒ら約20人も協力した。
午後3時半、中庭に大量の段ボール箱が運び込まれた。中に入っていたのは素焼きの灯籠だ。美術科の生徒が制作したほか、上田女子短大(上田市)が県内各地で展開している「灯(ともしび)キャラバン」から借りた。
4時すぎ、ろうそくの形をしたLEDライトを並べ始めた。まずは中央に小さなハート形を作り、そこから放射線状に輪を広げていく。そこに筒状の灯籠をかぶせ、延べ500人が描いた「願いの紙」を一つずつ差し込んだ。
紙には美術科の展覧会やワークショップで募った闘病中の子どもたちへの励ましや、コロナ禍で奮闘する医療従事者に向けた感謝の思いが絵で描かれている。こども病院の入院患者も一部描いた。
5時すぎ、中庭に徐々に形が浮かび上がる。が、まだ半分程度。急ピッチで作業が進む。
5時半、同校の放送部が花岡さんにインタビュー。コロナ禍で関係者以外、立ち入ることができない会場の様子を撮影し、ライブ配信した。
6時、灯籠の設置が完了。徐々に辺りは暗くなり、中庭は幻想的な明かりに包まれる。病院建物を見上げると、窓から眺める入院患者や医療従事者の姿も。
休憩時間に訪れた看護師長の藤森伸江さんは、花岡さんが生まれた時に集中治療室で担当した看護師の1人。「赤ちゃんの時からずっと見守ってきた。こうして大きく成長した姿を見られて本当にうれしい。こちらが元気をもらう」と目を潤ませた。
6時半、点灯終了。花岡さんは「ここで開くことができたのは本当に奇跡。支えてくれたすべての人に感謝したい。自分がそうだったように、同じような病気と闘う子どもたちや家族の心を少しでも癒やし、生きる勇気につながればうれしいです」とほほ笑んだ。