「南木曽ねこ認知度100%計画」蘇南高卒業生2人がPR

地域の人の協力 最大の宝物

南木曽町の蘇南高校を今月卒業した同町の上越萌衣さん(18、読書)と矢澤岳大さん(17、同)は、本年度の総合探究の授業で、町に伝わる防寒着「ねこ」の普及やPRに取り組んだ。新たなデザインを考案し、レンタルショップを開き、テレビCMも制作した。そこから見えてきたのは―。

外出に使えるデザインを

「ねこ」は袖無しで作業の邪魔にならず、着ていることを忘れるほど軽い。背負っていると背中がぽかぽかし、暖かさが全身に広がっていく。町では多く使われ、上越さんも子どものころから愛用してきたが、最近は若い人があまり着なくなり、「寂しさを感じていた」という。
活動のきっかけは、2020年の秋にさかのぼる。11月のある日、上越さんの父がねこを母にプレゼントした。母はとても喜んだが、何げなく言った。「外には着ていかれないなあ」
この言葉に、ぴんときた上越さん。ねこは和柄が中心で、洋服と合わせるのが難しい。「だったら、外出にも使えるねこを作ればいい」。幼なじみの矢澤さんを誘い、「南木曽ねこ認知度100%計画」と銘打ち、翌月からねこについて調べ始めた。
昨年4月、同町ねこ製作組合の吉村早苗組合長(64、吾妻)から、組合が商標登録している「なぎそねこ」は形や素材が決まっていることなどを教わり、その上で新しい素材にチャレンジ。10~20代をターゲットにしたレースのねこと、30代以上向けの麻のねこをデザインし、職人に教わって縫い上げた。
「デザインや実用性、伝統のせめぎ合いだった」と上越さん。「伝統的なスタイルには必ず理由があること、それを大切にしながら、今の暮らしに合ったスタイルを取り入れていくことが大事だと分かった」

レンタル店やCM制作も

一方、従来のねこの認知度や課題を探ろうと11月、町内の妻籠宿で1日限りのレンタルショップを開店。観光客の声から、若い世代も興味を示すことや、ねこを着ての外出には抵抗を示すことなどを再確認した。さらに、県内民放主催の「ふるさとCM大賞」に応募して敢闘賞を受賞するなど、マスコミを通じてPRもした。
2人が考案したねこは「なぎそねこ」の規定に合わないため商品化はされないが、吉村組合長は「私たちにはない発想と感性が素晴らしい。ねこの暖かさを数値化するなど、工夫もすごい」と刺激を受けた様子。
上越さんは4月から、ファッションの専門学校に進学し、矢澤さんは将来、地元で観光業に就くのを目指して大学で英語を学ぶ。「いろんな人が活動に協力してくれたのが、最大の発見であり宝物。地元愛が強まった」と2人は口をそろえた。