【記者兼農家のUターンto農】#48 土壌

ウェブで田畑の土壌調べる

マルチシートを敷く作業は畑の中を行ったり来たりするのだが、たまに大きな石に出くわす。持つと、ずしり重い。
毎年のように、父は石拾いをしている。こんな大物を見逃すはずはないが、例年、大きな面(つら)が絶えることはない。トラクターで掘り返されて出てくるのだろうが、無尽蔵ぶりに考えずにいられなくなる。この土地は元は何だったんだ、と。
土壌は、岩石が砕けて風化し、死んだ動植物が分解した「腐植」と混じってできる。万年単位の話だ。
でき方によって性質はさまざま。その場でできたものか、風で運ばれてきたのか、はたまた火山灰か。台地にできたものもあれば、河川沿いにたまったものもある。
その耕作地がどんな土壌なのかは、ネット上で簡単に分かる。国立研究開発法人農研機構の「日本土壌インベントリー」のウェブサイト=こちら=では、土壌の種類ごとに色分けした地図が見られ、ピンポイントで調べられる。
うちの畑は「褐色低地土」だった。自然堤防や扇状地に多いという。周りの地形を思い浮かべる。言われてみれば、という気もする。スマホで手軽に調べられるのに、有史以前からの土地の来歴を垣間見るような感慨がした。
中信の耕作地には、低地土と、火山灰由来の黒ボク土が多い。うちのすぐ近くには黒ボク土が広がっている。黒ボクは豊かというイメージがあって、惜しいなと思った。
ただ、褐色低地土も地力は比較的高いという。少しホッとして、思った。それなりに良いということは、それなりに手がかかるということか。
そんな土地を先祖代々つないできた。低地土と石の多さの関連は分からないが、石拾いをする価値はあると思った。