元気なシニア活躍 経験生かし人気商品作り

木祖村の「木曽川源流の里きそむら道の駅」は、ふっくらもちもちの食感が特徴のおやきや乾燥野菜シリーズなど、特色ある商品で注目を集めている。それらの人気商品を作っているのが、同道の駅に隣接する村農産物加工センターで働く元気なシニアたちだ。

「働く仲間は宝物」

3月下旬。センターを訪ねると、従業員はおやき作りの真っ最中だった。具材を手際よく皮で包む人、おやきを蒸し器から取り出し、鉄板で焼き目を入れる人、具材となる花豆を選別する人…。それぞれの任務を、てきぱきと、正確にこなしていく。
おやきは全部で7種類あり、都内にある県の情報発信拠点「銀座NAGANO」でも取り扱う人気商品。この日はそのうちの4種類を作っていた。
具材は主に村産野菜。「野沢菜など、野菜を洗うのがけっこう重労働。おやきと乾燥野菜用に、大根を1日で300本洗ったこともあった」と奥原弘子さん(66、小木曽)は笑う。
センターは2019年12月開所。従業員は14人で、多くが60~70代だ。
篠原しげ子さん(72、同)は、センターの開所を知り、地元で20年経営した居酒屋を畳んで就職した。「居酒屋は体力的にもう無理だったからね」。村人が絶賛する料理の腕前を、いまは加工所で生かす。
上村けい子さん(72、薮原)は篠原さんと小学校からの同級生。「もちろん、生きていくために働いているんだけど、それだけじゃない。4歳の孫へ何かプレゼントするのも楽しみだしさ」と声を弾ませる。
昼休憩の時間、弁当を持って休憩室に集まった従業員は、「この時間が何より楽しみ」と口をそろえる。
「体が一つじゃ足りない」と話す上村さんを筆頭に、多趣味の人が多いため、話題は尽きない。そして何より、笑いが絶えない。
「みんなに会えるのが、ここで働き続ける一番の理由かな。お昼の時間はあっという間だよ」と篠原さん。翁像(おきなぞう)とし江さん(71、同)も「人間は孤立しているといいことを考えない。ここで出会った仲間は宝物」と話す。
従業員をまとめる小木曽友香さん(40)は「皆さん明るくてにぎやか。本当にいい雰囲気をつくってくれる」とし、「新商品を考えるときも、味付けなど豊富なアイデアを出してくれる」と感謝する。
一方、シニア勢も「働く場所があることが本当にありがたい」と口をそろえ、「今まで培ってきた料理の腕を生かせる職場。まだまだ働くよ!」と元気いっぱいだ。