親子で学びたい消費者教育 子どもの消費者トラブルに備えて

4月から成人の年齢が18歳に引き下げられました。子どもを持つ保護者は、変わることや気を付けることをまずは自分が理解して、わが子のセーフティーネットになりませんか?押さえておくべきポイントを県中信消費生活センター所長(取材時、現在は松本地域振興局副局長)の山崎唯史(ただし)さん(56)に聞きました。

★消費者トラブル拡大の懸念
4月から18歳になったらできること=表=が増えました。未成年者が親などの同意を得ずに契約した場合、民法で定められた「未成年者取消権」によってその契約を取り消すことができますが、成年になったばかりの18、19歳は悪質業者に狙われやすく、消費者トラブルに巻き込まれる恐れがあります。
国民生活センターが2021年4月に公表した「18、19歳」と「20~24歳」の年度別消費生活相談件数(平均値)=グラフ=からも、成年になって間もない20歳代前半の相談件数が、「18、19歳」(集計時点で未成年)の約1・5倍と多く、その傾向がうかがえます。

★消費者トラブル10選
18・19歳に特に気を付けてほしい消費者トラブルを紹介します。
(1)副業・情報商材やマルチなどの「もうけ話」
(2)エステや美容医療などの「美容関連」
(3)健康食品や化粧品などの「定期購入」
(4)誇大な広告や知り合った相手からの勧誘など「SNSきっかけ」
(5)出会い系サイトやマッチングアプリの「出会い系」
(6)デート商法などの「異性・恋愛関連」
(7)就活商法やオーディション商法などの「仕事関連」
(8)賃貸住宅や電力の契約など「新生活関連」
(9)消費者金融からの借り入れやクレジットカードなどの「借金・クレカ」
(10)スマホやネット回線などの「通信契約」

簡単にもうかる、簡単に稼げるという話は絶対にありません。友達や先輩から誘われても「必要ない」ときっぱり断る勇気を持ちましょう。
「お金がない」と言うと、ローン(借金)を持ちかけられる場合もあります。少しでも迷ったとき、あやしいと思ったときは、その場で契約・施術をしない、お金を借りないでください。
規約をよく確認するのは大前提です。知り合った相手が本当に信用できるか、相手の好意は商品を売るための手口かも?という点も慎重に判断してください。契約を断りにくいときは、信頼できる人に付き添ってもらうなど周囲に相談してください。
★消費者を守る「クーリング・オフ」
いったん契約を申し込んだり契約を結んだりした場合でも、一定の期間であれば無条件で申し込みを撤回、解除できるのがクーリング・オフ制度です。
取引形態によってクーリング・オフできる期間が異なり、訪問販売や電話勧誘販売は8日間、連鎖販売取引(マルチ商法)は20日間など。いずれも契約書面を受け取った日を含めて8日間(または20日間)以内に、必ず書面で通知します(条件によってできない場合あり。控えを取る)。
インターネットなどで自ら申し込む通信販売は、クーリング・オフ制度はないので注意してください。
トラブルが起きたときは1人で抱えず、近くの消費生活相談センターなどに相談を。不明な場合は消費者ホットライン「188(いやや!局番なし)」に電話してください。

【18歳になったらできること】
(1)親の同意を得なくても契約ができる(携帯電話を契約する、ローンを組む、クレジットカードを作る、1人暮らしの部屋を借りる)
(2)10年有効のパスポートを取得できる
(3)公認会計士や司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取得できる
(4)性同一性障害の人が性別の取り扱いの変更審判を受けられる

【20歳にならないとできないこと】
(1)飲酒
(2)喫煙
(3)競馬・競輪・オートレース・競艇の投票券(馬券など)を買う
(4)養子を迎える
(5)大型・中型自動車運転免許の取得