
「体に優しいだけでなく、繰り返し使える布ナプキンを自分で作り、使えることを知ってほしい」。安曇野市穂高有明の中野あやさん(53)は、小学生から大人までを対象に、生理の時に使う「布ナプキン」への理解を深めるワークショップ(WS)を開いています。自分の体と向き合うことの大切さも伝えるWSをのぞいてみました。
草木染・手縫い思い込め
中野さんが作るのは、無漂白のネル生地を手縫いし、草木染を施すもの。生地が柔らかく肌触りが良い、起毛しているため下着からずれにくい、染めることで経血の吸収や洗ったときの落ちがよくなる|などの特徴があると言います。
「手をかけて作ったものには愛着が湧き、物を大切にしようという心にもつながります。また、使う相手への思いを一針一針に込められる、ちょっとした隙間時間に手を動かすことができるのも手縫いの魅力です」
3月に数回に分けて自宅で開いたWSには、小中高生など女性5人が参加しました。
まずは生地を裁断し、好きな色の糸を選び、それぞれのペースで縫い進めていきます。最後に下処理したものをインドアカネの根や玉ネギの皮などの染液へ。布がきれいに染まると歓声が上がりました。
普段はあまり人前で話すことがない生理や女性の体の話なども、ごく自然に話題に上ります。生理痛で悩んでいるという高校3年生の松村和楽(わら)さん(17、同市三郷小倉)は「学校を休みたいくらいひどい時もある。保健室に行きたいけど罪悪感もあって…。(この布ナプキンで)次の生理がどうなるか楽しみです」。40代の女性は「手を動かしながら、年は関係なくみんなで楽しくおしゃべりもできて、すごくぜいたくな時間でした」。
体調変化気付くように
中野さんは布ナプキンを愛用して23年。きっかけは、夫の仕事の関係で石川県白峰村(現・白山市)に住んでいた時、たまたま参加したイベントで「布ナプキンを作っている」女性に出会ったことです。
その頃、幼い子どもを抱えていた中野さんは、合成せっけんの「合成」って何だろうなど、それまで普通に使っていたものが気になっていた時期でした。「子どものおむつは布製と紙製から選べるのに、どうしてナプキンに選択肢はないのかと。それですぐに試したら、心地よさにびっくりしました」
布ナプキンを使い始めると、生理痛や肌の不快感が解消されただけでなく、生理に対する気持ちも変わったと言います。
「経血の量や色、状態などをよく見て、サラリとしていれば『調子がいいな』。量が多ければ『どこか調子が悪いのかな』。ドロッとしていれば『お肉を食べすぎたかな』など、自分の体調の変化に気付くようになりました。生理は面倒なものでも汚いものでもなく、体からの大切なメッセージなんです」
WSでは参加者から、「興味はあるけど本当に漏れない?」「自分で洗うのは大変そう」といった声もあると言います。
「使った経験がないので不安や心配があって当然。最初は量が少ない日や、家に1日いられる日から始めてみてはどうでしょう。心地よさを体感したら、洗うのもきっと手間ではなくなりますよ」