あづみの樹楽会 里山整備満開の桜仰ぐ

空に映える満開の桜、振り返ると常念岳、眼下に広がる安曇平。安曇野市明科東川手天田(あまだ)地区にある天田神社からの眺望だ。
倒木を片付けたり、ニセアカシアなどの雑木を伐採したり-。「きれいな桜を見たい」思いをエネルギーに整備を続けるのは、「さとぷろ。」(安曇野市里山再生計画)のボランティア団体「あづみの樹楽(きらく)会」(渡辺晃会長)だ。里山と人との関わりや、里山の活用方法を模索する。
かつては人が住み、畑を作ったり、木を活用したりと身近な里山だったが、3年前は見る影もないほど荒れ果てていた。
活動の成果を確かめるように、会員ら13人が集まり17日、花見をした。これからも整備は続く。忘れられた地域の宝を再生し、「市民の憩いの場所になれば」と力を込める。

雑木を伐採し桜の苗を植樹

安曇野市の天田神社周辺。「きれいだね」「今年は、花がたくさん咲いた」「天気も良く、絶好のお花見日和」-。17日の花見には「あづみの樹楽会」会員やその家族らが参加し、満開の桜を仰ぎ見た。
樹楽会が天田神社周辺の整備を始めたのは2019年。近くで里山整備の指導を受けた際、同神社付近に桜があることが分かり、「あるなら整備してみようか」という思いがきっかけになった。倒木の片付け、雑木の伐採と、軽トラックで延べ20台以上を運び出した。運んだ木は、まきにして自分たちで使ったり、市民に安く売ったりした。「切った木は、なるべく有効利用するのが会のコンセプト」と渡辺晃会長(74、安曇野市穗高)。
桜の種類はソメイヨシノで、樹齢50年以上。かつて地域住民が植えたという。ソメイヨシノは寿命が60~70年といわれており、既に老木。枯れた木もあった。整備と並行してエドヒガン、オオヤマザクラなど桜約30本を植樹した。苗木を網で囲うなど保護したが、鹿の食害に遭い、10本ほどが枯れてしまったという。少しでも被害を減らそうと、17日は皮を食べられないよう金網で囲んで保護し、網を支える棒と棒の間に筋交いを入れて強化した。
常念岳と安曇野を一望できる場所から少し歩くと、雑木で視界が遮られる。樹楽会は3月末、天田山の一部を購入し、本年度中に要らない木を伐採する予定だ。整備後はパノラマの風景が広がり、春の花見、夏の花火を楽しめるようになる。

石油やガス、電気が普及し、まきの需要は減った。人との距離が広がり荒れた里山に、ボランティアとして手を入れ続ける樹楽会。活動費はまき販売などで賄う。作業は手間がかかり、続けるのが大変そうだが、手がける会員は皆楽しそうだ。「月2回の活動が、最近は毎週になった」と、笑顔で話す会員もいる。渡辺会長は「楽しいから続けられるんだよ。やったらやっただけの成果が得られる」と力を込める。
昨年の桜は寂しかったが、整備されて樹勢が強くなり、今年は気候にも助けられ、素晴らしい花を咲かせた。「前の状態を知っているだけに感慨深い」。桜の名所を夢見て-。会員や周辺住民の憩いの場にするため、これからも安全に、楽しみながら里山と関わっていく。