光害調査し20年「塩尻星の会」 地道な活動続けて

本山から見た天の川(塩尻星の会提供)

夜空の明るさ高止まり状態

塩尻市宗賀本山から見られた天の川。その輝きに目がくぎ付けになる。美しい星空が広がる一方、市内の多くの場所では星空が見えにくくなっている。
街の人工光で夜空が明るく照らされる光害。塩尻市の天文愛好家でつくる「塩尻星の会」は光害を調査し今年で20年。継続して計測に取り組むのは県内で2グループのみだ。
星空観察をしようと会を結成したのが2000年。当時から星の見えにくい環境を実感し、光害の調査を始めたという。
光害は天文愛好家だけの問題ではなく、動植物の生息や成育への悪影響も指摘され、県も4月から条例で防止に取り組み始めた。
「星が見やすい環境を取り戻したい」と訴える同会代表の百瀬雅彦さん(57、広丘堅石)を訪ね、市内の星空事情を聞いた。

満天の星空取り戻したい

塩尻市の広丘小学校校庭。百瀬雅彦さん(塩尻星の会代表、公務員)が星の明るさを測る専用器を夜空に向けた。数値は18等級台。数字が小さいほど明るく、天の川が見えるのは20・0等級以上だ。一見、暗く感じる空もあちこちから人工光が広がっていると分かる。近くにある街灯の光も上に向かっていた。
「この20年間、夜空の明るさは『高止まり』の状態です」と百瀬さん。直近の5年間、調査を続ける77カ所の中で最も暗かったのは、奈良井ダムや奈良井宿などの楢川地区と日出塩や本山の宗賀南部で21等級前後。最も明るかったのは塩尻駅周辺や広丘地区の吉田や野村で19・0等級以下だった。
以前は暗かった郊外地が明るくなる一方、市街地の明るさは横ばい傾向で、郊外と市街地の差が少なくなっている。コロナ禍が始まった20年は社会活動自粛の影響か全体的に暗くなったが、21年は再び明るくなった。
光害調査は毎年、主に4、5月の晴れた日の午後9~10時に会員6人が市内の公共場所を手分けして測る。1カ所で5回計測し最大値と最小値を除いた残り3回を平均して測定値にしている。
当初3年間はリバーサルフィルムで星空を撮影し、長野市立博物館に計測を依頼。その後、専用機器を導入して空そのものの明るさを測るようになった。

光害の学習会 6月にシンポ

塩尻星の会は市内の天文愛好家らにより発足、星空観察会などを開いている。光害調査は03年、先に取り組んでいた長野市立博物館などのグループから声がかかり塩尻市内で始めた。
塩尻で顕著な光害が起きたのは20年12月。市内のラブホテルが改装開業PRのため青いサーチライトを夜空に照射し住民から苦情が寄せられた。これを受け同会は光害をテーマに学習会を開いた。
県に光害防止条例の制定を求める要望書を提出し署名も集めた。これらを受け県は今年4月から「良好な生活環境の保全に関する条例」を施行、光害の防止に取り組み始めた。
百瀬さんによると、防犯など生活上必要な屋外照明は保ちながら上方に漏れる光を少なくすることで、夜空の明るさを改善できるという。同会は公式ホームページで計測値を公開しており、6月4日は市内で開く「光害シンポジウム2022」で活動を報告する。
「星空はきれいで癒やされる。子どもの頃に見た満天の星を少しでも取り戻していきたい」と百瀬さん。地道な活動はこれからも続く。