夢向かい新たなスタート 元山雅選手の髙﨑さんキノコ栽培

農業・地域盛り上げて

サッカー松本山雅FCで活躍し、2018年のJ2優勝にも大きく貢献した元Jリーガー髙﨑寛之さん(36、松本市)。今年3月にプロを引退し、山形村で新規就農者として新しいスタートを切った。
取り組むのは真っ白なキノコ、シロヒラタケの栽培だ。後継者がおらず、1年ほど休業していた農園を引き継いだ。
引退後の生き方を模索する中、「一番魅力を感じた」という農業に飛び込んだ。栽培だけでなく、販路拡大のための営業もこなす。
社会人チームに所属し、週3回の練習にも参加する。きついと感じることもあるが、「やると決めたからには続ける」。将来、自分のチームをつくりたい思いもある。
今後はスイカ、トウモロコシにも挑戦する。異なるステージで、夢に向かい走り出した。

シロヒラタケ後継者として

シロヒラタケの栽培工場は約700平方メートル。土作り、雑菌を死滅させ、キノコの菌を植える─など一連の作業をこなす。キノコの菌付けは神経を使う。温度管理を徹底し、35日寝かせたら、湿度を保った生育室へ。菌付けから50日で出荷できるという。
※髙﨑寛之さんが農業の世界へ飛び込んだのは、今年2月。一時は「サッカーをやりたい」「やることが見つからない」と悩んだ時期もあったが、やめると踏ん切りがついたとたん、新しい道が開けた。シロヒラタケを栽培していた藤森知明さん(72、松本市里山辺)が体調を崩し、後継者を探していることを知った。「技術を教えてもらえるなら頑張ってみよう」
朝6時に起きて工場へ。午前中に仕込みをこなし、午後からはスイカやトウモロコシを栽培する畑に出たり、営業に回ったり。決まった休日もなく、「時間はいくらあっても足りない」が、初めて収穫したときは「むちゃくちゃうれしかった」という。
サポーターもいる。栽培法を教える、畑を貸す、苗を用意する、収穫を手伝う─など、いろいろな形で応援してくれる。「困ったらみんなが助けてくれる。本当にうれしい」。道の駅「今井恵みの里」(同市今井)など直売所3カ所で販売を始めた。

社会人チームプレーも続け

シロヒラタケは味が濃く、香りが良く、食感もしっかり残る─といった特長があり、藤森さんの時代から使用する飲食店は多い。「トラットリアジラソーレ」(同市巾上)の松井基代表(50)も、※髙﨑さんの再スタートとシロヒラタケ復活を喜ぶ一人だ。MIDORI松本(同市深志1)の「カンポ・ディ・ジラソーレ」で「信州シロヒラタケとベーコンのクリームスパゲティ」(1280円)などを再び提供し始めた。
立地から観光客の利用もあり、「(シロヒラタケ)栽培を引き継いでもらえてありがたい。県外に頼るのは簡単だが、ここでしか食べられないキノコとして、地元の特産の一つに育てたいという気持ちも強い」と松井さん。
※髙﨑さんが目指すのは「実業家として農業に取り組む」ことだ。高齢化による就農者不足を解消するためにも、農業に魅力を感じられるようにしたい。「農業はやればやっただけ未来があると思う。農家ではなく、経営者としての勉強をしたい」と力を込める。
北信越リーグ2部のアンテロープ塩尻に所属し、週3日の練習をこなす。「チームの、そしてリーグの知名度を上げたい」と※髙﨑さん。さまざまな社会貢献につながる活動を模索しながら、今度は自身がサポーターとなり、農業を、そして地域を盛り上げようと張り切っている。