【記者兼農家のUターンto農】#54 リーフ初出荷

リアル「朝飯前」の日々始まる

リーフレタスを初出荷する日を迎えた。
5月上旬の早朝、畑に向かうと、東の空がオレンジ色を帯びていた。思わず足を止める。きれいだなあと思う一方で、今年もこの時間から働く日々が始まったと実感し、気持ちが重くなるところもある。この日は起きるのがしんどかった。
畑ではすっかり緑が茂っていた。うちで作っているのは、リーフレタスの中でもその名もグリーンリーフという種類。葉っぱは丸まらず、ふちが縮れている。同じような形で、ふちにかけて赤くなるのはサニーレタスだ。
どちらも、葉っぱが丸まる普通の玉レタスより作りやすいという。とはいえ、簡単にはものにならない。例えば、前回紹介したように、病気で枯れてしまうこともある。
種まきから2カ月半、畑への定植からは1カ月半。春先は成長に時間がかかり、今年はその間に降雪、季節外れの高温や多雨に見舞われた。初出荷の日を迎えたのは、いわば生き残りだ。
豆粒ほどの種から、標準的な大きさで1株300グラムを超える重さになる。玉レタスより4割ほど軽く、出荷に負担がかからないのも作りやすいとされる理由だ。うちの両親のように、高齢の農家にとってはなおさらだ。
だが、初日の株たちは重めだった。出荷用の段ボールに15株を詰め、箱も合わせて5キロ以上が規格。手応えはそれよりずっとあった。親たちは「重い、重い」とつぶやきながら運んだ。こぼしているようで、育ち具合に満足しているようにも聞こえる。
出荷を終え、朝食にリーフのサラダが出た。玉レタスのようなシャキシャキ感はないが、柔らかい葉は程よい苦味があり、個人的にはいくらでも食べられる。みそ汁の具にしてもおいしい。
働きが食に直結することを痛む腰と満たされた腹で感じる。今年も始まったと改めて思う。払暁の変化も楽しみに、早起きすることにしよう。