狩猟サポート 松本にアウトドアショップ

松本市征矢野の住宅街に昨年秋、銃やジビエを扱う「アウトドアショップひよの家」がオープンした。狩猟や登山に関するグッズの他、ジビエの加工品、山菜、熊の油など幅広く販売する。狩猟ガイドや射撃指導もする。ジビエを味わえる飲食店にもなる。
店主はハンター歴42年、松塩筑猟友会松本第2支部の支部長を務める米山彰彦さん(62)。アウトドアの本質は「四季折々の自然の恵みを頂きながら過ごすこと」であり、狩猟や釣り、山菜採りやキノコ採りもその一つという。
「活動を始めるハンターを支援したい」「山の肉のおいしさを知ってほしい」「地域の人が交流する場をつくりたい」…。さまざまな思いを込め、店を開いた米山さんに話を聞いた。

経験生かし集いの場に

20歳で狩猟免許を取得した米山彰彦さんは、国内のアマチュアクレー射撃大会で数回にわたって優勝し、海外大会でも優勝した実績がある。猟友会の活動の他に、県の射撃指導員を務める。
娘の美希さん(37)も20歳で狩猟免許を取得。大会のレディース部門で優勝経験があり、県ハンター養成学校の講師を務める。ハンター同士の交流や情報収集の機会をつくろうとシューティングクラブを立ち上げ、代表を務めている。
親子で知識も経験も豊富なことから、新たに免許を取得した人たちからしばしば猟について相談を受けた。だが「アマチュアは(銃刀法で)人の銃を触れない」ため、最後までサポートできないもどかしさもあった。
猟友会員の高齢化が進み、鳥獣被害対策、ジビエ振興などの面からも若いハンターが増えてほしい。ところがせっかく免許を取得しても「猟への出方が分からない」などの理由から、多くの人が更新しない。「もったいない」と感じていた。
一昨年、米山さんの母親が亡くなり、実家の片付けに通っていた。近所の人から「ここで一緒にお茶を飲んでゆっくりしていた」「気軽に集まる場所がどんどんなくなり寂しい」と声を掛けられ、「ここを一日中出入りできる飲食店『バル』にして、近所の人が集う場にすれば、少しでも恩返しができるのでは」と考えたという。
銃砲店の資格があれば、狩猟免許の取得から猟を始めるまでのサポートもできる。「ここで店を開こう」と決断し、開店に向けてさまざまな資格や免許を取得。人が集まり笑顔が広がる場に、との思いを込め、みんなから愛された初代猟犬の名前をとって店名を「ひよの家」とした。

「山の肉」のおいしさを

狩猟で得た命を粗末にせず、多くの人に山の肉のおいしさを知ってもらうことが供養にもなると、ジビエ家庭料理や加工品の提供も行う。県の猟期は3カ月と短いが「銃の手入れや技術を向上させる練習は、オフシーズンこそ不可欠」で、クレー射撃の練習会や個人レッスンなども行う。
5日には狩猟歴4年目の女性が、銃を受け取るために立科町から夫婦で来店。お茶を飲んでゆったりと話しながら、米山さんから銃の特性や、猟での服装、靴の装備など、さまざまなアドバイスを受けた。「知らないことがたくさん。勉強になる」と話していた。
コロナ禍のためバルは休業中。気軽に立ち寄ってもらえない状況が続く。米山さんは「自然の大切さや命の重みを感じてもらい、地域の役に立てる場にするにはどうするか」と、活動の形態を模索し続けている。
猟や指導などで不在の場合もあり、来店には予約が必要。同店TEL0263・30・8244