地元の木工作家応援―林業生かすギャラリーカフェ

新たな視点で林業の発展を

森林に囲まれた木曽谷。多くの樹木を目ににすることはあっても、地元の木で創作活動をする作家を知る人は、どれほどいるだろうか―。
「地域で活動する木工作家を応援したい」と、木曽町新開の千村有紀子さん(47)が同町福島の旧街道沿いに2日、「ギャラリーカフェSOMA(ソマ) 」を開いた。木工などの作品を展示販売し、作家の器をカフェで使用。地元の木材をインテリアに取り入れた。
千村さんは3年前、夫が林業で起業したことを機に、木曽の森林や林業の現状に関心を持つようになった。地域の木工作家が作品発表の場がなく苦労していることも知った。
林業を生かす一つの形として、ギャラリーカフェを拠点に地域の活性化を目指す千村さん。第一歩となる店を訪ねた。

地元作家に特化 化学反応に期待

木曽町文化交流センター近くの旧中山道沿い。存在感ある一枚板の扉を開くと、奥行きのある空間が広がる。「ギャラリーカフェSOMA」は築100年ほどの空き家を全面改装した。地元作家に特化した店は木曽郡内で珍しい。
「SOMAは木を切る仕事の『杣(そま)』にちなみ、生活にもっと木が使われ山の木も循環するようにと願いを込めました」とオーナーの千村有紀子さん。
ギャラリーには木の皿や一輪挿しをはじめ、陶器の食器類、地元のシカ革を使った小物など、作家7人の作品を展示販売。2階には県内外のアーティストが木曽に滞在して創作し発表する「木曽ペインティングス」の紹介コーナーを設けた。
木曽産の木材を加工した一枚板のテーブルや陳列棚、作家が制作した椅子などがおしゃれに並び一角には林業を紹介する映像も。「気軽に利用し、ここで出会った人が化学反応を起こして新しい何かにつながっていけばうれしい」という。

作家活動支援で木の価値向上を

千村さんは兵庫県姫路市生まれ。20代前半からスノーボードの日本代表を目指し国内外の大会に出場した。活動中にトリノ五輪(2006年)に出場した木曽町出身で元日本代表選手の格(いたる)さん(47)と出会い結婚、木曽町で生活を始めた。
専業主婦として2人の子どもを育ててきたが3年前、格さんが「木曽ツリーワークス」を起業。千村さんも共同経営者として未知の世界に飛び込んだ。
放置され荒れた森林が倒木災害を起こすこと、伐採木が産業廃棄物として処理されることを知った。何とか木曽の木の価値を高められないか―と考えるようになった。
注目したのが作家だ。木曽で活動を始めても、創作と営業の両立や維持コストの捻出が難しく、起業10年以内に辞めてしまう作家が多いという。事業の一環として、作家支援と商店街活性化に取り組むことを決意した。
ギャラリーに作品を出展する木工作家の櫛原文子さん(52、日義)は、常設展示に感謝しつつ「地元で木工を学び作り手を目指す人のモチベーションにもなるのでは」と話す。
自社伐採木を作家に提供できる仕組みにも取り組み始めた千村さん。「荒れた山を生き返らせるためには、木材の価値を高めることが大切。そのためにまず、製品の素晴らしさを多くの人に知ってもらいたい」。木曽伝統の林業で、現代の町にどんな貢献ができるのか。新たな視点で切り開いていく。

【ギャラリーカフェSOMA】月、火、金曜営業(土、日、祝日は不定休。営業日は店頭と店のSNSで告知)。午前10時半~午後4時半。TEL080・7136・1952