ギョーザ×音楽でとりこに―ギョウザミュージシャン・嶋田湧さん

「ギョウザミュージシャン」というユニークな肩書を名乗る嶋田湧(わく)さん(30、安曇野市三郷小倉)。価格以上の満足を得られるとしてミシュラン「ビブグルマン」を得たギョーザ店の立ち上げに関わり、音楽をやりたいと路上ライブをしながら自転車で日本1周|と、経歴も異彩を放つ。
2019年、「餃子(ぎょうざ)と歌のツアー」で安曇野市を訪れ、自然の素晴らしさ、人の温かさに感動し、翌年移住した。現在は「手づくり餃子NERU」の名でイベントやネットで販売。ギョーザ教室も随時開く。6月に松本市で初のワンマンライブがある。
「ギョーザで胃袋をつかみ、歌で心をつかむ」が嶋田さんのテーマだ。「やりたいことはいっぱい」と言い、今年から畑にも挑戦する。音楽とギョーザで自分を表現し続ける。

夢追い全国行脚挑戦は続く

「8ビートを刻むように野菜を細かく刻んでイカすメロディ練り込むようにお肉としっかり練り込む隠し味に味噌(みそ)を入れるのがミソ」。ギョウザミュージシャン嶋田湧さんが作った「ギョウザロックンロール」の歌詞の一部だ。
神奈川県出身で、中学時代にギターを始めた。大学では音楽サークルに所属。卒業後、全国で飲食店を展開する会社に入社、店長や料理長を務めた。会社も飲食の仕事も好きだが、人生を懸けてやる仕事はと考えたとき、「音楽をやりたい」。会社を辞めた。
辞めたタイミングで、独立した上司が始めるギョーザ店の立ち上げから関わることに。ギョーザの開発研究に明け暮れた。「音楽をやりたくて会社を辞めたが、ギョーザにどハマりした」と嶋田さん。面白く、奥深く、おいしさを求め続けたという。レストランを厳しく評価するフランスのミシュランから、高い評価を受けるまでになった。

一方、音楽の夢は捨てきれない。先輩に相談すると、「そんなに音楽がしたかったら旅に出たら」。その言葉に、雷に打たれたような衝撃を受けたという。「これだ!歌が売れないと生きていけない状況をつくると、自分が変わるんじゃないか」と2018年、アーティストとして、自転車で日本1周の旅に出た。
持ち物は、テントに寝袋、着替え、そしてギター。お金は持たず、路上やライブハウスで歌いながら、ペダルをこぎ続けた。「稼ぐことは暮らすこと。人とのつながりの大切さや、当たり前の状況のすごさを痛感した」
実は、もう一つ持っていったものがある。ギョーザの皮を延ばす麺棒だ。世話になった人に手作りギョーザを振る舞うと、どこでも喜ばれた。「その場所の食材を使い、子どもからお年寄りまで楽しみながら一緒に作れる」
旅から戻り、当時付き合っていたあさひさん(29)と入籍し、広島に引っ越した。日本2周を企画したが、あさひさんが妊娠。関東、関西、九州、中国と、音楽とギョーザを絡めたピストン式のツアーをすることに。「旅する餃子屋」と名乗った。
19年、ツアーで安曇野を訪れ、自然や人の温かさなど、その魅力のとりこになった。翌年、家も決めずに安曇野へ移住。シェアハウスで暮らした後、今の家に落ち着いた。
ライブ、ギョーザ製造販売の他、ギョーザ教室、ギターや歌のレッスンなど活動は幅広い。畑でニラや小麦、ショウガを作ったり、家をもっと住みやすくDIYしたりも。将来は店を持ちたいと言い、ギョーザと音楽を核に「常に新しいことを始め続けたい」と意欲的だ。

【ギョウザミュージシャンの活動】「焼餃子」「そば餃子」「水餃子」「セロリ水餃子」を各2000円でネット販売。ライブやイベント会場でも販売する。ライブ「はじめ続ける」は6月18日午後3時半、松本市深志1のライブハウスALECX(アレックス)。入場料3500円(1ドリンク付き)。手づくり餃子NERUの出店も。チケットはハカルAzumino、安曇野地球宿などで販売中。問い合わせはインスタグラムからダイレクトメールで。